<参院選・課題@福井1>主要産業 期待と不安

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

原発再稼働

8月に運転を再開する美浜原発3号機(左、美浜町で)
8月に運転を再開する美浜原発3号機(左、美浜町で)

 参院選福井選挙区(改選定数1)には6人が立候補し、7月10日の投開票に向けて論戦を繰り広げている。有権者は国の政治に何を求め、1票を投じるのか。県内の課題の現場を歩き、各候補の主張を紹介する。

候補乱立 批判票分散

 敦賀半島で若狭湾に面する美浜町の「たなべ旅館」。6月中旬のある平日、まだ海水浴シーズンでもないのに10ある部屋はすべて埋まっていた。近年は宿泊客が月に10人に満たないこともあった。活気が戻ったのは、約5キロ北に位置する美浜原子力発電所3号機(美浜町)の影響が大きい。

 美浜3号機は2011年の東日本大震災後から停止していたが、昨年6月、運転開始から40年を超えた原発として全国で初めて再稼働した。その後、テロ対策施設の建設の遅れで停止したものの、8月には再び動き出す。

 美浜町は今年度の一般会計当初予算の歳入の約5割を交付金など原発関連が占める。原発周辺の宿泊施設や飲食店は定期検査などで原発を訪れる作業員らに支えられてきた。

 たなべ旅館もその一つ。再稼働後、作業員の宿泊が増えた。 女将おかみ ・田辺由美子さん(57)は「安全が大前提だが、できる限り動いてほしい」と祈るように話す。

 一方で、原発の将来像は不透明だ。40年超運転が始まったとはいえ、延長期間は20年。美浜3号機は36年に運転期限を迎える。中長期的なエネルギー政策の指針となる国の「エネルギー基本計画」は、原発について「必要な規模を持続的に活用」とするが、「可能な限り依存度を低減する」とも明記した。新規の建設や建て替え(リプレース)は触れられず、岸田首相は国会答弁で「現時点では考えていない」と発言した。

 原発の安全性を不安視する声もある。明通寺(小浜市)の住職で、市民団体「福井から原発を止める裁判の会」の中嶌 哲演てつえん 代表は、「原発の安全に絶対はない。都市部の電力需要のために、地方がリスクを背負う構図はおかしい」と指摘し、廃炉を望む。

 原発だけに頼らない地域の将来像を描こうとする取り組みも始まっている。

 経済産業省は、昨年6月以降、杉本知事や原発立地地域の首長らを招いた「共創会議」を開き、振興策を検討してきた。今月3日の会合では、嶺南の将来像を「ゼロカーボンを 牽引けんいん する地域」と設定。次世代のクリーンエネルギーとされる水素を嶺南地域で製造し、25年の大阪・関西万博の会場に供給する案などをまとめた。

 1970年の大阪万博では、試験運転中の美浜1号機(廃炉)から会場に「原子の灯」を送電しており、県内では「再びエネルギー供給のトップランナーになれる」との声が上がる。しかし、出席した敦賀市の渕上隆信市長は「実効性の確保が課題だ」と発言。嶺南選出県議は「実現したとしても、これまでの雇用を確保できるのか」と語る。

 2023年に再稼働予定の高浜原発1、2号機がある高浜町の斉藤紀明・町商工会事務局長は、危機感を示す。「原発は町の主要産業だ。運転が終わった後、炭鉱が閉鎖した地域のように寂れてしまわないか。国には原子力の方向性をしっかりと示してほしい」

<メモ>

運転開始から40年を超えた原発 東京電力福島第一原発事故後、原発の運転期間は「原則40年」と定められた。原子力規制委員会が特別に審査して安全性を認めた場合、1回に限って最長20年の延長ができる。規制委は2016年に美浜3号機、高浜1、2号機の延長を認可。福井県なども昨年4月までに再稼働に同意した。

候補者に聞く (届け出順)

 読売新聞福井支局が参院選福井選挙区の候補者に実施したアンケートの回答を、ほぼ原文のまま紹介する。

 ○=「活用し続けるべきだ」 ×=「活用し続けるべきではない」 △=「どちらとも言えない」の三つの選択肢から選び(―は無回答)、理由や進めるべき政策を記述してもらった。

原子力発電を今後も活用し続けるべきだと思いますか、思いませんか。

砂畑まみ恵氏 諸新

△ 日本のエネルギーは、火力発電が約7割を占め、その原料を輸入に依存していることから、国内で自給できる体制づくりが非常に大切だと考える。原発は極めて専門的な分野であるため、今後、慎重に議論すべきだ。

 

斉木武志氏 無新

― コストが重要。電力料金が上昇しており、安全審査に合格した既存の原発を料金引き下げに活用するのは合理的判断だ。しかし、新設コストは震災前の4倍以上に上昇。料金引き下げにつながるかが判断の分かれ目。

山崎正昭氏 自現

○ 資源に乏しい我が国において、エネルギー安全保障の観点から原子力の活用は重要。世界一厳しい基準の下、安全性確保を大前提に、国民の信頼、地元の理解を得ながら、増設・リプレースも含め検討・活用すべきだ。

笹岡一彦氏 無新

○ 昨今の異常気象による電力逼迫(ひっぱく)を見ると、大都市での突然の大規模停電による1000人単位の犠牲者発生が危ぶまれる(資源エネルギー庁)。回避するために、安全が確認された原発は当面安定電源として活用すべきだ。

山田和雄氏 共新

× 原発が安全性、経済性とも成り立たないことは明らかだ。原発で生産する電力を優先する国策が、再生可能エネルギー大普及を阻んでいる。再エネは100%国産。エネルギー自給率向上へ、原発ゼロの決断を。

ダニエル益資氏 N新

○ 核のゴミ処理の問題など原発には当然問題があるが、国防上、エネルギーを自国で賄わなければいけない面もある。原発を使いながら、メタンハイドレードのような新しいエネルギー源も早急に利用できるようにすべきだ。

【リアルタイム更新中】参院選 開票速報
参院選 福井選挙速報・開票結果【随時更新】
スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
3119142 0 ニュース 2022/06/28 05:00:00 2022/06/28 05:00:00 2022/06/28 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220627-OYTNI50045-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)