豪雨被災犬の姿 絵本に

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「一連の出来事を絵本にして伝えたい」と語る長沢さん
「一連の出来事を絵本にして伝えたい」と語る長沢さん
受け入れ先の家庭で穏やかに暮らすうらら
受け入れ先の家庭で穏やかに暮らすうらら

 筑紫野市の山中で老犬の保護施設を運営してきた長沢由起子さん(68)が、昨年7月の西日本豪雨で被災した同施設を題材に、絵本づくりを進めている。豪雨の日、犬を守ろうと施設に赴いたボランティアの女性(当時68歳)が犠牲となった。被災犬は遺志を継いだ仲間によって保護され、受け入れ先で幸せに暮らす。長沢さんは「豪雨災害を風化させたくない」と執筆を続けている。(北川洋平)

 保護施設は、筑紫野市在住でフリーペーパー発行会社代表の長沢さんらが17年ほど前に運営を始めた。被災した女性は15年ほど前から活動に参加。自宅のある宇美町から片道約10キロの道のりを車で通い、餌やりや犬舎の掃除をしていた。

 豪雨となった昨年7月6日も施設に行き、当時保護していた3匹の世話をした。雨が激しくなり、救助の消防隊員と避難している時に濁流や土砂に巻き込まれ、翌日遺体で発見された。

 行方不明になった3匹のうち、雄犬の「くうちゃん」はボランティア仲間が保護。別の1匹は近くで死んでいるのが見つかった。

 残る1匹を捜していた長沢さんのもとに、今年1月、似た犬がイノシシ用のわなにかかったという情報が寄せられた。駆けつけたところ、捜していた犬ではなく、別の雌犬だった。豪雨時に雷などに驚いて逃げ、飼い主のもとに戻れなくなった被災犬とみられる。わなから逃げようとしてひどいけがをしており、左前脚の骨がむき出しになっていた。

 この雌犬は、同じ時期に周辺で見つかった子犬3匹の母犬だと分かった。長沢さんは「子犬のために必死でわなから逃げようとしたのだろう」と思ったという。

 亡くなった女性がつないでくれた縁として、長沢さんらは雌犬を保護。太宰府市の動物病院で左前脚を切断する治療をしてもらった。その後、宗像市鐘崎地区にある泉福寺から受け入れの申し出があり、今年4月に引き取られた。

 「うらら」と名付けられ、住職の高野照弘さん(60)ら家族4人とともに暮らしている。先に飼われていた犬3匹ともなじみ、足のハンデを感じさせないほどじゃれ合っている。妻の奈保美さん(52)は「うららは被災や足を失うなどの大変な経験をしてきたが、ここでは一緒に普通に暮らしていきたい」と笑顔を見せる。

 うららの子犬3匹は県内のボランティア仲間らがそれぞれ引き取った。「くうちゃん」も大分県の災害動物救援施設を経て、福岡県内の受け入れ先へ移った。

 長沢さんはこのような経過を広く伝えたいと思うようになり、絵本の制作を思い立った。電車での移動中にスマートフォンのメモ機能を使ったり、仕事の合間にパソコンを使ったりして、少しずつ執筆している。

 亡くなった女性のことが忘れられない。「豪雨の日、怖かったはずなのにギリギリまで犬に寄り添い続けた。わなにかかっても子犬のために必死に逃げたうらら。ともに弱い命、小さな命を守ろうとした。その姿を伝えたい」と語った。

無断転載禁止
777388 0 ニュース 2019/09/04 05:00:00 2019/09/04 05:00:00 2019/09/04 05:00:00 「絵本にして伝えたい」と語る長沢さん(19日午後4時34分、福岡市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190903-OYTNI50027-T.jpg?type=thumbnail

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