視覚障害70歳、聖火走者に リオパラ銀・道下さんの練習相手

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

仲間から贈られた紅白のロープを手に調整する内野さん
仲間から贈られた紅白のロープを手に調整する内野さん

 小郡市の視覚障害者ランナー、内野博己さん(70)が東京五輪聖火リレーのランナーに選ばれた。自らの病と向き合いながら、2016年リオデジャネイロ・パラリンピック視覚障害者マラソン女子銀メダリストの道下美里さん(43)(三井住友海上)の練習パートナーを長く務めた“いだてん”。仲間や家族の思いも背に5月12日、県内で晴れのロードを駆ける。(大塚晴司)

 内野さんは小郡市出身。同市役所に勤めていた50歳の時、ワープロや書類の文字が読めなくなった。難病の網膜色素変性症。運転中に信号が見えないほど悪化し、57歳で退職した。

 それでも、「楽しみや目標がないと生きていけない」と、中学時代から続けていた陸上は諦めなかった。13年に沖縄で行われたマラソン大会の10キロで優勝すると、翌年は20キロを制し、ホノルルマラソンに招待された。17年には全国障害者スポーツ大会の1500メートルと200メートルで優勝。18年からは小郡市で、視覚障害者と健常者が共に走る「おごおり天の川ふれあいマラソン大会」を主宰している。

 道下さんとの出会いは10~11年頃。福岡市の大濠公園などで活動する「大濠公園ブラインドランナーズクラブ」の練習で知り合った。今ほど知名度が高くなかった道下さんから「伴走のボランティアが少ない」と聞き、引き受けた。

 それからリオで銀メダルをつかむまでの約5年半の間、道下さんは毎週、小郡市まで通い、点字ブロックが敷かれた公園で走り込んだ。内野さんは伴走や先導のペースメーカー役で付き添った。今も月に1~3回は練習を共にする。

 内野さんの症状は少しずつ悪化している。視角は10度ほどで、かすかに見える世界はドーナツのような形をしており、中心付近の視力はゼロに近い。

 そんな中、「視覚障害者マラソンは、伴走者の支えがあってこそ成り立つ。その素晴らしさを表現したい」と聖火ランナーに応募。昨年12月25日、大会組織委員会から、5月12日の県内ランナーに決定したとメールが届いた。「日がたつごとに責任の重さを感じている」と言い、万全の状態で走れるよう、健康診断も受けた。

 決定を受け、仲間の視覚障害者ランナー、松永由美さん(57)(福岡市)から、ランナーと伴走者をつなぐ、手作りの紅白のロープを贈られた。本番ではそのロープを三女、麻里亜さん(38)と握り合い、万感を胸に200メートルを走る。

 今月3日の箱根駅伝で、同じ病の選手が区間新記録の快走を見せた。「自分も頑張ろうと勇気づけられた」と内野さん。「できないことを悔やむより、できることを楽しみ、誰かの役に立つ。諦めない心を伝えたい」と語る。

 道下さんは東京パラリンピック出場が内定し、出身地の山口県で聖火ランナーを務める。「仲間がいなかった時期に、安心して走れる練習場所を探したり、走り方をアドバイスしたりして支えてくれたのが内野さん。一緒に聖火ランナーに選ばれ、すごくうれしい」と声を弾ませた。

無断転載禁止
1014176 0 ニュース 2020/01/23 05:00:00 2020/01/23 05:00:00 2020/01/23 05:00:00 松永さんから贈られたロープを握り、力走を誓う内野さん https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200122-OYTNI50014-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み_東京2020オリンピックパラリンピックキャンペーン

アクセスランキング

 


東京オリンピックパラリンピックオフィシャル新聞パートナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
挑むKANSAI
読売新聞社からのお知らせ