「コロナ差別」絶つ教材 古賀・花鶴小教諭が作成、授業 医療従事者の家族描く
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新型コロナウイルスに感染した人たちの治療にあたる医療従事者やその家族への差別が問題になる中、古賀市の小学校教諭が独自の道徳教材を作り、今月、差別や偏見を絶つための授業を始めた。
古賀市立花鶴小で、教室に入れない児童の支援を担当する芝尾大樹教諭(38)。光延正次郎校長から「コロナは新しい課題で、教科書に載っていない。子どもたちが理解しやすい教材があれば」と持ちかけられ、5月下旬に製作を開始。何度も書き直しながら作業を進め、小学生の女の子と看護師の母親の姿を描いた物語「温かい手」を7月上旬に完成させた。
母親は第一種・第二種感染症指定医療機関に勤務し、救急搬送されてきたコロナ感染者に寄り添う。同じクラスの男児から「お前、うつってるかもしれないから気をつけろよ」と言われ、母親に「病院に行くのやめて」と訴える女の子。母親から「もうやめてしまいたい」と思うほどの現場の過酷さや、「命をすくわれたよ、ありがとう」との患者の言葉を励みにしていることを聞かされた女の子は、お母さんを心から誇りに思う――。そんなストーリーに、同校の上野栞教諭(27)がイラストを添えた。
古賀市には、県内唯一の第一種・第二種感染症指定医療機関である国立病院機構「福岡東医療センター」がある。芝尾教諭はセンターをイメージし、新聞記事などの報道を参考にしながら書き上げたという。
4日に行われた5年生の授業では、実際の医療現場を撮影した映像を見た後、仕事を辞めるように求められた母親の気持ちや、病院に行くのをやめなかった理由を考察。看護師などとして、両親が共に医療に携わっている青木玲奈さん(11)は「毎日大変そうなので、手伝いをしてあげたい」と発表した。
芝尾教諭は「子どもたちが『自分のこと』として真剣に捉えてくれている」と手応えを語る。
市によると、「コロナが出始めの頃から近所で避けられるようになり、子どもも同様に友達から避けられている」といった訴えが、医療機関に勤める女性から田辺一城市長宛てに実際に届いている。花鶴小では今月下旬まで5、6年生を対象に授業を行い、授業の進め方などを整理した上で、他校でも活用できるよう教材を提供する予定という。