汽車倶楽部に住田奨励賞 鉄道史学会 直方でSL修復など評価
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蒸気機関車(SL)の修復・保存活動に取り組む直方市のNPO法人「汽車倶楽部」が、鉄道史学会(東京)の住田奨励賞特別賞を受賞した。地元や九州各地に残るSLの修復に加え、小学校の社会科見学を受け入れたことなどが、鉄道史研究の進展に寄与したとして評価された。
汽車倶楽部は、鉄道愛好家が1999年に設立し、2016年にNPO法人になった。会員は約80人。これまでに同市や中間市、芦屋町などで保存されていたSL9両の修復を手がけた。現在は熊本県高森町から「C12形」など2両を直方市頓野のNPO施設に移設し、修復を進めている。各地に残るSLの定期的な点検も行っている。
NPO施設ではこのほか、石炭輸送で活躍した「9600形」などSL2両も展示。市内の小学3年生が毎年、「石炭と鉄道のまち直方」をテーマにした社会科見学で訪れている。
住田奨励賞は、運輸事務次官やJR東日本の初代社長を務めた住田正二氏(故人)の名を冠した賞で、論文、書籍、特別賞(展示・企画等)の3部門がある。鉄道史学会役員による現地調査を経て昨年12月、特別賞の受賞が決まった。
今月5日、江口一紀理事長らが市役所を訪れ、大塚進弘市長に受賞を報告。江口理事長は「SLは修復後の定期的な点検や管理が重要で、取り組みが評価されてうれしい。子どもたちは直方の鉄道と石炭の歴史を知り、古里に誇りを持ってほしい」と話した。