登山者の命守る学び場 知識・技術で遭難事故防ぐ プロガイドら 情報配信や講座
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九州に登山者のための学び場を作りたい――。福岡市在住のプロ登山ガイドらでつくる任意団体「
山学舎の運営メンバーは代表の岩永正朗さん(42)(福岡市南区)ら4人で、いずれも九州の山を中心に紹介した山岳雑誌の編集などに携わった経歴を持つ。別々に活動をしていたが、昨年9月に「これまで培った山登りの経験を多くの人に伝えたい」との思いから、再び集うことになった。
プロジェクトの発端は、山ガールのブームやキャンプ人気などで山へ登る人々が増えつつある一方、遭難事故も目立つことがきっかけ。警察庁の統計によると、九州・山口の山岳遭難事故は2019年、150件発生し、48人が負傷、9人が亡くなっている。要因の一つとしてメンバーは「自然に対する知識や洞察力、基本的な山登りの技術を習得できる機会がないのでは」と考え、それを補える場を作ろうと取り組み始めた。
岩永さんは「遭難事故の原因を知ると、ちょっとした知識があれば防げた道迷い、少しの技術で回避できた滑落などが目立つ。いかにして自分の命を守るかを伝えたい」と意気込む。
その核となるのがウェブマガジン「月刊 山学舎」の有料配信。内容は山の魅力を伝える特集記事やルートガイドの解説、メンバーの思いを伝えるコラム、初心者に向けた質問コーナーなど盛りだくさん。さらに四季折々の山岳風景や生息する動植物を写真と共に随時紹介している。
このほか、登山のスキルアップに役立つ座学と実技が学べるワークショップを行う。地形図の読み方や全地球測位システム(GPS)を利用したスマートフォンアプリの使い方、登山で必要なロープワークの基本など、より実践的な知識や技術を身につけてもらうことを目指す。実際に山登りをして学んだことを試すイベントも予定している。
プロジェクトへの参加は会員制(会費月額500円)で、ウェブマガジンの配信が受けられる。追加料金を払えば、ワークショップなどの参加も可能となる。申し込みはホームページ(https://sangakusha.smartcore.jp/)で受け付ける。
岩永さんは「このプロジェクトが山を知り、自然を大切にする心を育ませていく、その道しるべになればと思う」と参加を呼びかけている。