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日章旗米国から沖縄へ 福岡の教諭ら 慰霊の日、遺族に返還

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 第2次世界大戦中、米爆撃機B29の搭乗員だった男性の遺品から、寄せ書きが記された戦時中の日章旗が見つかった。連絡を受けた県内の中学校教諭や戦没者遺族らの協力で、召集時に旗を贈られた沖縄の男性が判明。沖縄戦の犠牲者を悼む「慰霊の日」の23日に遺族に返還される。

 2019年4月、桂川町立桂川中の英語教諭、池末義孝さん(57)(篠栗町)にメールが届いた。25年ほど前に勤務した田川市の中学校で外国語指導助手を務め、現在は米サンディエゴで暮らすウィリアム・ターナーさん(47)だった。

 ターナーさんの高校時代の友人、スペンサー・ベアードさん(47)の祖父で、B29の爆撃手だったセス・マードックさんの遺品に、家族の誰も存在を知らなかった旗があるという。寄せ書きの意味などを尋ねる文面に旗の画像が添付されていた。池末さんは返信で、旗に書かれた「武運長久」「撃ちてし止まむ」などの文言を英訳し、意味を解説した。

 その後のやり取りで、ベアードさんに本来の持ち主へ返還する意思があることが分かった。画像から「具志堅榮一君」「チバリヨー」といった沖縄に多い名字や方言が読み取れたため、池末さんは、航空自衛官として沖縄勤務の経験がある知人の中島政美さん(74)(嘉麻市)に相談。中島さんは、共に沖縄戦で親族を亡くした遺族として交流がある伊藤博文さん(52)(福岡市早良区)に伝えた。

 伊藤さんは19年11月に沖縄県を訪れた際、旗にあった「旭町」の地名を手がかりに、戦没者の氏名が刻まれた糸満市の「平和の礎」などで「具志堅榮一」さんを探したが、見つからなかった。そこで、地元紙の紙面で呼びかけてもらったところ、同県豊見城市の元那覇防衛施設局職員、具志堅一雄さん(73)が「父ではないか」と名乗り出てきた。

 一雄さんによると、地元で青年団長を務めていた榮一さんは、1942年前後に訓練兵として召集された。その際に旗を受け取り、町内会の事務所に飾っていたという。マードックさんの手に渡った経緯は不明だが、一雄さんは「日の丸は日本の象徴。沖縄戦の時に米軍が発見し、戦利品として持ち帰ったのではないか」と推測する。

 1年弱で帰ってきた榮一さんは戦中から戦後にかけて沖縄で薬物密輸の取り締まりに従事した後、家業の建具店を継ぎ、2004年7月に82歳で亡くなった。

 一雄さんが旗が見つかったことを母いちさんに伝えると、いちさんは「若い頃に見たことがある」と思い出し、喜んだという。しかし、新型コロナの世界的な流行で返還に向けた動きは中断。いちさんは昨年5月、旗との再会を果たせないまま、96歳で他界した。

 今年4月24日、池末さんの自宅に国際郵便で旗が届いた。丁寧に折り畳まれ、いちさんの死去を知らされていないベアードさんの自筆で、「(旗が)どこから来て、どこに返すべきか分かったことが素晴らしい」との、いちさんに宛てたメッセージが添えられていた。

 池末さんは「コロナ禍とはいえ、奥さん(いちさん)に見てもらえなかったのが残念でならない」と話す。23日に伊藤さんと共に沖縄に持参し、沖縄県護国神社で一雄さんに手渡す。一雄さんは「沖縄の歴史の一つをたくさんの人に見てもらいたい」と、同神社に奉納し、展示してもらう意向だ。

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