定点観測連載「いま ここから」

[福島大学 1月] 海外に見た 風評の現実

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海外研修の成果発表会で、参加者と語り合う小野さん(右から3人目)ら(17日、福島市で)
海外研修の成果発表会で、参加者と語り合う小野さん(右から3人目)ら(17日、福島市で)

 経済経営学類の海外研修は福島大学の人気プログラムだ。長くて2か月、付き添いの教員とともに外国に滞在し、現地で意識調査などを行う。今年度は45人の学生がロシアや韓国など5か国で研修し、17日に福島市内で成果を報告した。

 米国を選んだ2年の小野叶子さん(20)ら5人は、昨夏、南部のテキサス州ヒューストンで市役所の業務などを経験した。

 「福島に人はいるの」「あなたが住んでいるところは本当に大丈夫なの」

 福島県から来たと小野さんが話すと、ホストマザーになってくれたホームステイ先の女性は矢継ぎ早に質問してきた。慣れない英語で、自分が住む福島市に津波は来なかったこと、いまは震災前とほぼ変わらない暮らしに戻ったことを説明したら、「もっとひどいと思っていた」と驚いた様子だった。

 現地の大学で授業を受ける傍ら、キャンパスでアンケートも取ってみた。

 回答者95人のうち、「福島の食品は安全だと思うか」との問いに「安全だと思う」としたのは30%。「どちらともいえない」「思わない」を合わせると51%で、安全だと断言できる人は少数派だった。食品が市場に出回る前に安全性の検査があることも、3人に1人しか知らなかった。

 原発事故から8年あまりがたち、もう少し福島の現状がマスメディアなどで伝わっているだろうと小野さんは思っていた。「面と向かって話せば分かってもらえる。でも、よほど関心がない限り、遠い福島についてわざわざ自分で動いて調べてはくれない」。風評と呼ばれるものの正体に、少しだけ近づいた思いがした。

 小野さん自身、初めて滞在してみて、米国のイメージは次々と覆されていった。たとえば、豊かな先進国のはずなのに、街のあちこちで見かけるホームレスの姿は驚きだった。

 直接話す以外の方法で、どうやって外国の人に福島の今を理解してもらえるか。大きな宿題を残し、2か月の短期研修は終了した。(山元麻由)

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1027197 0 いまここから 2020/01/30 05:00:00 2020/09/26 20:00:31 2020/09/26 20:00:31 海外研修の成果発表会で、参加者と語り合う小野さん(右から3番目)ら(17日、福島市で)=山元麻由撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200130-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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