[大熊町大川原 5月] 町職員 手作り月刊紙
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大熊町の若手職員が昨秋から手作りする月刊情報紙「大川原ライフ」が好評だ。執筆陣は現在4人で、全員が大川原に住んでいる。
6月号の編集作業をのぞくと、議会事務局勤務の佐藤由香さん(30)が、猫の写真を何枚も机に並べて考え込んでいた。
「使いたい写真が多すぎる……」
情報紙はA4判1枚。表と裏にペンや色鉛筆を使って記事を書き、写真やイラストを添えている。佐藤さんは今回の表面の担当で、今春入庁した新人職員の南場
前日、南場さんが住む再生賃貸住宅に足を運び、「宅飲み」をしつつ取材。いわき市のアパートが昨年の台風19号で浸水被害に遭ったことがきっかけで、大川原に住み始めたエピソードを聞き出してきた。南場さんの愛猫の「にゃーちゃる」は人なつこく、佐藤さんにも甘えてきた。
情報紙は教育総務課の喜浦遊さん(39)の発案だ。「おもしろければ題材は何でもいい」という編集方針のもと、新しくできた飲食店「ダイニング大川原」で女子会を楽しんでみたり、道端でイノシシと遭遇した実体験をリポートしたり。「実は大川原でジェルネイルができるんです」と、日用品を売る仮設店舗の意外なサービスを紹介したこともある。
「少しずつ『ふつう』が戻るまち」。5月号の主見出しだ。点滅信号の交差点が通常の信号になり、ごみの分別収集が始まったことを伝えた。町の広報誌には載らない、ささやかな日常の風景。「読んだ人が、これなら大川原に帰れるって思ってもらえたらうれしい」と佐藤さんは語る。
大川原ライフは毎月、町外在住を含む大熊町民に広報誌と一緒に届けられる。役場などで無料配布しているほか、希望すればメール(mirai@town.okuma.fukushima.jp)でも受け取れる。(鞍馬進之介)