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定点観測連載「いま ここから」

[大熊町大川原 9月] 会津に感謝 絆の地酒

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検査にかけられる大熊産の酒米(25日、楢葉町で)
検査にかけられる大熊産の酒米(25日、楢葉町で)

 大熊町大川原の実証栽培田でとれた酒米「五百万石」の放射性物質検査が25日に行われた。

 収穫量は30キロ・グラム入り29袋分。1袋ずつ検査機のコンベヤーに通され、全てで検出限界値未満と表示された。大熊産の飯米は2014年から国の基準を超えたことはないが、今年初めて栽培した酒米もこれで安全が確認された。

 酒蔵のなかった町で、酒米を育て、日本酒を特産化する――。震災前は誰も考えつかなかったそんな計画が、いよいよ動き出している。原発事故をきっかけに生まれた県内きっての酒どころ、会津若松市との縁が背景にある。

 町企画調整課によると、酒造りの構想は昨春以前、まだ仮役場が会津若松にあった頃から庁内で持ち上がっていた。町の避難指示が順次解除されても、つながりを大事にし、感謝の気持ちを持ち続けたい。酒の特産化は営農再開のシンボルにもなる。楢葉町が避難先の会津美里町で醸造し、18年から販売している日本酒「楢葉の風」の取り組みも刺激になった。

 大熊町は市内のいくつかの酒蔵に打診し、「会津娘」で知られる高橋庄作酒造店から内諾をもらった。あとは、栄養の乏しい除染後の農地で無事に収穫できるかどうかだった。

 放射性セシウムの吸収を抑えるため、担当の町職員が塩化カリウム肥料を散布。農業委員会のメンバーも加わって、こまめに除草するなどして丁寧に育てた。天候不順や猛暑を何とか乗り越え、安全性もクリアできた。農業委の根本友子会長(73)は「よくぞ実ってくれた。これで一安心」と感無量の様子だった。

 町が商品名を公募し、集まった372点から「帰忘郷きぼうきょう」が選ばれた。どこにいようと、いつも故郷を忘れずにいたい。震災から10年が迫る中、散り散りになった町民の願いを一言で代弁したような名前だった。

 試作品は来年1月にも完成する。「大熊の人たちの思いに応える酒を届けられるよう、丁寧に仕込みたい」。醸造を引き受けた高橋亘社長(47)は話している。(鞍馬進之介)

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1512656 0 いまここから 2020/09/30 05:00:00 2020/09/30 05:00:00 2020/09/30 05:00:00 放射性物質の検査をする大熊の酒米。全て検出限界未満で、モニターには緑色の「○」が次々と映し出される(9月25日午後4時2分、楢葉町で)=鞍馬進之介撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200930-OYTAI50008-T.jpg?type=thumbnail

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