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定点観測連載「いま ここから」

[南相馬市 10月] 鹿島の梨 増す存在感

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ジュースは1本500ミリ・リットルで1200円(税込み)。「例年より甘みが引き立つできばえです」と鈴木さんは語る(21日、南相馬市の鹿島商工会で)
ジュースは1本500ミリ・リットルで1200円(税込み)。「例年より甘みが引き立つできばえです」と鈴木さんは語る(21日、南相馬市の鹿島商工会で)

 完熟梨をまるごと搾って瓶詰めした南相馬市鹿島区の特産ジュースが、今年も常磐道のサービスエリアに並ぶ季節になった。

 芳醇ほうじゅんな甘みが広がる「豊水」と、さわやかな酸味が特徴の「幸水」の2種類。商品化は2015年と歴史は浅いが、最近は東京の販売イベントで「毎年楽しみにしている」と声がかかるまでになった。

 鹿島が100年前から梨の産地だったことは意外と知られていない。これに着目してジュース作りを手がけた鹿島商工会の鈴木秀明さん(47)は会津若松市の出身だ。県商工会連合会(福島市)から派遣され、05年に赴任した。

 以来よく耳にしたのは、「鹿島はこれといった特徴がなく、目立たない」という地元の嘆きだった。原町市や小高町と合併したのは06年。震災後はますます存在感が薄まっている、という声も聞こえてきた。

 鹿島の梨の加工品でアピールするのはどうだろう、と鈴木さんは提案した。ジュースなら日持ちがして全国で売り歩けるし、客も気軽に手に取れるのではないか。梨農家の若手ではリーダー的存在だった但野喜直さん(50)に話を持ちかけた。

9品種の梨を栽培する但野さん。今は「王秋」が収穫期を迎えている(19日、南相馬市鹿島区で)
9品種の梨を栽培する但野さん。今は「王秋」が収穫期を迎えている(19日、南相馬市鹿島区で)

 梨は果汁にすると香りが弱く、通常は香料を加える。「果汁100%を売りにしたい」と訴える鈴木さんに、「おいしくなるのだろうか」と但野さんは半信半疑だったが、「まあ乗るだけ乗ってみっか」と取れたばかりの梨を提供した。

 届いた試作品は衝撃だった。味が凝縮され、糖度や香りが増している。「梨じゃないみたいだ」と但野さんは思った。ジュースは、その年の梨の出来によって色も味わいも変わる。6年目となる今季の生産は1400本。とりわけ甘みが引き立つ味に仕上がった。

 気になることもある。東京などのイベントで「福島って大変ね。頑張って」と言いつつ、商品を手に取ってくれない客がいる。どこかよそごとのような言葉の響き。見えない壁に触れたようで、鈴木さんの心はざわつく。(柿井秀太郎)

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1582037 0 いまここから 2020/10/25 05:00:00 2020/10/25 05:00:00 2020/10/25 05:00:00 「今年は例年より甘みが引き立つできばえです」と語る鈴木さん(21日午後2時43分、鹿島商工会で)=柿井秀太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201027-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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