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[南相馬市 12月] 地域密着 医師の覚悟

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「古里で最期を迎える人にどこまで寄り添えるかが大事」と話す小鷹医師(11日、南相馬市小高区の小高診療所で)
「古里で最期を迎える人にどこまで寄り添えるかが大事」と話す小鷹医師(11日、南相馬市小高区の小高診療所で)

 南相馬市小高区の小高診療所。ただ一人の常勤医、小鷹おだか昌明医師(53)は患者から「地名と同じ名前なんですね」と言われ、不思議な縁を感じている。

 埼玉県出身で、専門は神経内科。震災当時は栃木県にある独協医大病院の准教授だった。20年近く勤めてやりがいはあったが、40歳を超えたころから、敷かれたレールをたどるような窮屈さも覚え始めていた。

 2011年8月、被災地医療を見たいと思って訪れたのが、たまたま南相馬市だった。「医者が足りない」という悲鳴をあちこちで耳にした。10月に辞表を提出し、翌春から原町区の市立総合病院で認知症患者を主に診てきた。

 今年4月から所長の職に就いた小高診療所では、非常勤医3人と交代で1日20人弱の外来患者を診る。その合間に訪問診療も引き受けている。

 最期まで住み慣れた家で過ごしたいという願いに、どこまで応えられるのか。10人ほどの患者の家を回りながら、小鷹医師は、大学病院に残っていれば考えなかったはずの難題に直面している。

 脳梗塞こうそくで寝たきりだった80歳代の女性の自宅には、週に1回ほど胃ろうの状況を確かめに通った。今月初めに息を引き取り、同居の息子は「最期までありがとうございました」と深々と頭を下げた。

 こうして家族のサポートに恵まれている人はまだいい。小高区の高齢者の割合は10月末時点で42%。一人暮らしや高齢夫婦のみの世帯も多く、あと10年もたてば介護が必要な人はますます増えるだろう。地域の施設は足りるのか。患者一人一人の望みを十分かなえられるのか。現実を知れば知るほど焦りが募る。

 当初は「2年もすれば南相馬での自分の役割は終わるはず」と思っていたが、気づけばもう9年目に入った。住民の外出のきっかけを作ろうと始めたエッセーの書き方教室や木工教室は今も続いているし、相馬野馬追にも6年連続で出陣している。

 最近、埼玉にいる母(86)が脚の骨を折って介護施設に入所した。自宅に一人残った父(89)も心配で、ちょくちょく往復している。一緒に住むために南相馬に呼ぶべきかどうか。悩みごとがまた一つ増えた。(柿井秀太郎)

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1719285 0 いまここから 2020/12/16 05:00:00 2020/12/16 05:00:00 2020/12/16 05:00:00 「古里で最期を迎えたい人にどこまで寄り添えるかが大事」と話す小鷹医師(11日午後1時17分、南相馬市小高区の小高診療所で)=柿井秀太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201222-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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