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大熊町の交流施設「リンクる大熊」で18日、早めのクリスマス会が開かれた。大川原地区や避難先から町民40人ほどが集まっていた。
10月設立の町民交流団体「おおがわら会」が主催した初めてのイベント。参加者は、折り紙で作ったクリスマスツリーとリースを、シールやモールで飾り付けた。「不器用だから難しいなぁ」と言いつつ、笑顔で取り組んでいる。その様子を眺めながら、サンタクロース姿の山本千代子さん(69)は目を細めた。
山本さんは団体発起人の一人で、震災前にはJR大野駅前でスナックを営んでいた。町民や東電の社員ら、たくさんの人たちが集い、お酒を飲みながら盛り上がるのを見るのが楽しみだった。
そんな生活は、震災と原発事故で一変した。自宅と店舗は帰還困難区域に指定され、会津若松市へと避難を余儀なくされた。町の避難指示が初めて解除された2019年、町に戻り、大川原の災害公営住宅で暮らすようになった。店舗兼住宅は、すでに解体したため、今住んでいる家が「ついの住み家」と話す。
災害公営住宅に町内会はない。震災前の居住地はバラバラで、初めは周りにどんな人が住んでいるかも分からなかったという。「大川原での生活を少しでも楽しく過ごしたい」と、有志とともに、交流イベントを開く団体の設立を決めた。
5月に行われるはずだった設立総会が新型コロナウイルスの影響で10月にずれ込み、今回のクリスマス会がようやく開催できた第1弾のイベントになった。参加した仲野文江さん(74)は「避難先から来た人と久々に会えて元気な顔を見られたのがうれしかった。毎回参加したい」と声を弾ませた。
1日時点の町内推計人口は900人を超えており、来春には復興拠点の避難指示も解除される。山本さんは「イベントを通して、みんなで楽しみながら少しずつ交流の輪を広げていきたい」と願っている。(鞍馬進之介)