[災後の福島で 第7部] ふるさと教育(3) 未知の世界 自ら調査
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双葉中
原発事故の帰還困難区域は15歳未満の立ち入りが禁じられている。ほぼ全域で避難指示が続く双葉町の子どもたちは、想像力を駆使しながら、あの日以来一度も足を踏み入れたことのない古里を学んでいる。
いわき市に避難している双葉中。1、2年生の7人が総合学習で双葉の店や史跡などを調べた。
1年の斉藤にこさん(13)が題材に選んだのは、毎年1月の恒例行事「ダルマ市」だ。実際の行事は記憶にないが、いわき市の仮設住宅の広場で復活したダルマ市を3年ほど前に見たことがある。巨大なダルマを中心に置き、両側から綱を引っ張って競い合っていた。
役に立ったのはインターネットの情報だった。ダルマ市の歴史が書かれたサイトがあり、綱引きの正式名称は「巨大ダルマ引き合戦」と呼ばれること、北側が勝てば五穀
役場の担当者にも電話をかけて質問するなど積極的に調べた斉藤さんは「初めて知ることばかりで楽しかった」と振り返る。
同じく1年の
自分も、もし双葉にいたら、ここでケーキを買って食べたのかもしれない。「行ったことがないのに、双葉を少し身近に感じることができた」と話した。
ネット活用 好奇心育む
ネット上の情報は、失われた風景を鮮明によみがえらせることもできる。2年の渡部
双葉中では、学校に直接町民を招き、町の文化を体験することも重視している。生徒たちは工芸品「双葉ダルマ」の絵付け体験や「
2年生担任の室井知美教諭(41)は「生徒にとって双葉はあくまで未知の世界。古里のことをもっと知りたいという自主性を育みたいので、インターネットを活用しつつ、できるだけ古里をリアルに感じられる工夫をしていきたい」と話している。(丸山菜々子)