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災後の福島で2021

[災後の福島で 第7部] ふるさと教育(4) 故郷は自分で決める

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津島小

 避難先の二本松市で授業を行う浪江町立津島小の教室に、「なみえっ子みこし」がある。明治時代から続く「十日市祭」のみこしを、2017年に子どもたちが手作りで再現した。よく見ると、町の花のコスモス、町の鳥のカモメに交じって、二本松市の花の菊が描かれている。

 「古里は将来、自分で選べばいい」

 みこしに込められた意味を、教諭の武内弘子さん(56)は説明する。

 原発事故当時から町の小学校で勤務している唯一の現役教員だ。栃木県出身で、結婚を機に大熊町に移り、3児を育てた。しかし、福島第一原発から約3キロの家は汚染土を一時保管する中間貯蔵施設の用地になった。日常の暮らしを突然奪われる痛みはよく知っている。

 震災時の町立小6校のうち、武内さんが勤めていた浪江小は11年8月に、津島小は14年4月に、二本松市の同じ校舎で再開。総合学習の一環で、「ふるさとなみえ科」の授業が始まった。児童は記憶をたどりながら、町の名物や景色を題材にしたカルタ作りに取り組むなどしてきた。

浪江も二本松も学んで

 子どもたちの変化にはたと気づいたのは、震災から4、5年たった頃だ。震災当時はまだ物心のついていない世代だから、町の話をしても通じない。「生まれた浪江を教えるだけでいいのだろうか」。そんな疑問が浮かんだ。今の学びやがある二本松のことも勉強し、それぞれが自分なりに古里について考えていく方が自然ではないか――。

 町を流れる川に遡上そじょうしてくるサケを使った「紅葉汁」と並んで、野菜がたっぷり入った二本松の郷土料理「ざくざく汁」も食べてみる。大堀相馬焼の体験と合わせて、二本松の伝統家具の技も学ぶ。15年からは二つの古里を学ぶスタイルに変わっていった。

 浪江小は昨春に休校し、津島小も最後の児童で6年生の須藤嘉人君(12)の卒業と同時に休校が決まった。その嘉人君が取り組むのは、「10年間ふるさとなみえ博物館」の制作。空き教室を一つ丸々使って、なみえっ子みこし、大堀相馬焼、浪江の名所カルタなどを配置している。一角には二本松城家しろや箪笥たんすもある。10年続くふるさと教育の積み重ねを感じさせる。

 嘉人君にとっての古里はどこか、武内さんはあえて聞かない。浪江でも二本松でも、いま住んでいる福島市でもいい。将来、「僕の古里はここだ」と思える場所があれば、そこが古里になると思っている。(石沢達洋)

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1757264 0 災後の福島で 2021/01/06 05:00:00 2021/01/18 17:52:23 2021/01/18 17:52:23

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