誰もが学び直せる場 弟の不登校開講後押し

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「生徒が主役」と書かれた紙を貼ってから、連絡事項を書き込む大谷さん(19日、福島市で)
「生徒が主役」と書かれた紙を貼ってから、連絡事項を書き込む大谷さん(19日、福島市で)

 自主夜間中学の誕生につながった映画上映会がある。企画したのは、いまも運営団体の中心にいる福島市の大谷一代さん(57)だ。2010年秋に市内で行われた上映会をきっかけに、教師経験のある人たちと大谷さんが出会い、4か月後、開講が実現した。

 大谷さん自身は教師ではない。2歳下の弟、達雅さんの不登校がすべての始まりだった。

 達雅さんは中学2年で学校に行けなくなり、家にひきこもるようになった。父が内科医で、長男として医学部に進むことを幼いころから期待されていた。成績順位が出ると、「進学校に入るためにもっと順位を上げないと」と言われる。不登校の理由を語ることはなかったが、そんな言葉が重荷になったのだろうと大谷さんは思う。

 5年ほどたって弟が「勉強したい」と言い始めた。大学生だった大谷さんは中学の範囲から教えてくれる予備校を一緒に探し歩いたが、受け入れ先はなかった。その後、科目履修生として入学した放送大学にも結局通えないまま、達雅さんは10年5月、44歳の時に心不全で亡くなった。部屋には中学の教科書が積まれていた。

 社会に出る糸口を見つけたかっただけなのに、いったんレールから外れると、学ぶ機会が閉ざされる。何とかしたいと思った。自分で教えることは自信がないが、一時住んだ埼玉県で自主夜間中学を2年ほど手伝ったことがあった。

 夜間中学の存在を知ってもらおうと企画した上映会の後、定時制高校元教員の菅野家弘さん(77)が「手伝えることはないですか」と声をかけてきた。開講に欠かせないピースがそろった。

 大谷さんは教室にいつも一番早く現れて授業の準備を始める。室内のホワイトボードに、「生徒が主役」と書いた紙を貼る。

 ここでは学ぶ意欲がある人を拒まない。誰にも弟のような思いはさせまい、と大谷さんは決めている。

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1426144 0 ともに学ぶ~夜間中学の風景から~ 2020/08/20 05:00:00 2020/08/31 11:33:30 2020/08/31 11:33:30 「生徒が主役」と書かれた紙を貼り、次回の日程を書き込む大谷さん(19日、福島市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200821-OYTAI50034-T.jpg?type=thumbnail

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