福島×ねこ(1)養蚕の守り神 絵馬奉納 猫稲荷神社

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絵馬が奉納されていた猫稲荷神社の社殿(川俣町西福沢で)
絵馬が奉納されていた猫稲荷神社の社殿(川俣町西福沢で)
猫稲荷神社に奉納された絵馬(1905年奉納)
猫稲荷神社に奉納された絵馬(1905年奉納)
猫稲荷神社に奉納された絵馬(1919年奉納)
猫稲荷神社に奉納された絵馬(1919年奉納)

 ペットとしての飼育数が最も多い猫は、県内でも信仰の対象や観光資源、伴侶動物として社会に広く根付いている。2022年は「にゃんにゃん」で猫の年。猫と人が関わる現場を訪ねた。

 明治から昭和にかけて養蚕と絹織物で栄えた川俣町に、蚕の天敵となるネズミを駆除する猫をまつった猫稲荷神社がある。鳥居に掲げられた木彫りの猫が往時の面影を残すものの、養蚕業の衰退とともに社殿は廃れ、今は参拝者もほとんどいない。ただ、歴史を伝える活動は続いている。

 県立美術館で7月23日から約1か月間、特集展「みんな大好き!福島ねこづくし展」が開かれる。企画したのは学芸員の橋本恵里さん(29)。注目したのは神社から649枚見つかった猫が描かれた絵馬だ。

 神社は元々、キツネをまつった稲荷神社として創建されたが、絹織物の隆盛に合わせて1871年に猫稲荷神社に改められた。養蚕が盛んだった当時は、神社に奉納された猫が描かれた絵馬を参拝者が持ち帰り、蚕の無事を祈って養蚕が行われていた部屋に飾った。養蚕がうまくいったら絵馬を新たに作って2枚にして返していたという。

 ネズミを捕る姿などが描かれた絵馬に、橋本さんは「絵は住民が描いたものが多く、個性があって面白い。当時の人々の猫に向けた意識や、絵馬に込めた素朴な願いを感じ取ってほしい」と話す。

      ◇  ◇  ◇

 川俣町には天皇の きさき だった「小手姫」が落ちのび、養蚕と機織りの技術を伝えたという伝承が残る。「川俣」は姫が育った里の名から取ったとされるほど、町は養蚕や絹織物と深くつながってきた。そのため、神社には信仰が集まり、多くの絵馬が奉納された。

 絵馬は記された内容から1877~1954年に奉納されたとみられ、相馬市や浪江町津島地区からの参拝者もいる。宮城県村田町歴史みらい館の石黒伸一朗館長(64)は「奉納者が広範囲に及んでいることからも大きな信仰を集めていたことがわかる」と指摘。猫稲荷神社の氏子の菅野勉さん(89)は「町の産業を支える猫は家族であり、頼れる仕事上のパートナーだった」と当時を振り返る。

      ◇  ◇  ◇

 福島市の信夫山中腹にある西坂稲荷は、悪さをしたキツネが僧侶に改心させられ、ネズミを捕って養蚕の守り神になったとされることから、「ねこ稲荷」と呼ばれるようになった。

 猫人気の高まりを受け、民間団体が2014年、「猫の幸せ祈願を信夫山で」と銘打ったイベントを実施。ねこ稲荷の横に掲示板を設置し、飼い猫の写真を飾れるようにすると、県内外の愛猫家が猫の健康や供養に足を運ぶ「聖地」になり、本来とは別の信仰が集まる場所になった。

 現在は、NPO法人「ストリートふくしま」が神社の整備などを引き継いだ。「スーパーにゃんにゃんの日」の2月22日に合わせて、ねこ稲荷のご朱印を作りSNSなどで周知したところ、1日で400件以上の申し込みが寄せられた。同法人の水口和栄理事長(70)は「信夫山のにぎわい創出に向けて、今後もねこ稲荷を活用した取り組みを考えていきたい」と話した。

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2980737 0 福島×ねこ 2022/05/02 05:00:00 2022/05/02 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/05/20220504-OYTAI50009-T.jpg?type=thumbnail

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