双葉郡 交通事故が多発 昨年同期比 人身事故、既に2倍 背景に復興関連車両急増

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 東京電力福島第一原発事故の廃炉・復旧作業が進む双葉郡で、交通事故の増加が止まらない。背景には、作業関連車両の急増がある。今年も人身事故の発生件数は既に前年同期の2倍に上っていて、県警の担当者は「事故の多発は、復興の推進や住民帰還の足かせになりかねない」として、周辺自治体や関連企業などに注意を呼びかけている。

 4月23日、富岡町の交流センターで開かれた緊急会議。県警や復興関連企業などから駆け付けた約220人に対し、地元の安全運転管理者協会の水島進会長(77)は「住民は不安を抱いている。地元の人を守る運転を心がけてほしい」と訴えた。企業の担当者は「交通事故は復興の最重点課題だ。『事故ゼロ』の覚悟が必要だ」と語った。

 今月13日現在、郡内で今年起きた人身事故は24件で、前年同期の11件から倍増した。富岡町の国道6号では4月15日、中間貯蔵施設(双葉町、大熊町)で使う工事資材の土砂を運搬していた大型トラックが、信号待ちの車列に突っ込み1人が死亡、3人が重軽傷を負う事故が発生した。郡内の他の地域でも、除染土を運搬する車両の事故が相次ぐ。

 事故の増加は、作業車両の交通量が急増したことが影響している。環境省は今年度、中間貯蔵施設に昨年度の2倍超となる400万立方メートルの除染土を搬入する。輸送車両の1日平均台数も昨年度の2倍に当たる約2500台になり、これに伴って他の作業関連車両も増える見通しだ。

 こうした状況に、大熊町の常磐道では3月末、大熊インターチェンジ(IC)が開業し、渋滞緩和や交通安全が期待される。道路を管理する東日本高速道路東北支社の担当者は「交通量の分散化を図り、事故が減れば復興事業の加速に寄与できる」と話す。

 環境省も、同ICから中間貯蔵施設に向かうルート途中に、輸送車専用道路の整備を進めている。国道6号と立体交差させて一般車両との接触機会を減らすのが狙いだ。

 道路会社や行政だけではない。中間貯蔵施設などに重機を運搬する運送会社「斎藤運輸工業」(飯舘村)は、従業員約130人を対象に月1回、約30分間の交通安全教室を開催する。酒気帯び運転の危険性や休憩時のストレッチ法など毎月テーマを変えながら、「運転には余裕を持って」と呼びかけている。指導する同社の渡辺卓実さん(55)が「遅れて怒られるくらいでいい」と強調し続けた結果、昨年の同社の物損事故件数は、前年から約6割減少したという。

 双葉郡を管轄する双葉署の●巣(とのうす)博署長(57)は、「帰還を検討する人に『交通事故が多くて帰れない』と思わせてはいけない。改めて安全運転の意識を強く持ってほしい」と呼びかけている。

※●は「卓」に「鳥」

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583301 0 ニュース 2019/05/15 05:00:00 2019/05/15 05:00:00 2019/05/15 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/05/20190514-OYTNI50070-T.jpg?type=thumbnail

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