水不足田植え一月遅れ 矢吹や鏡石 収穫量に影響懸念

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ダム貯水率大幅低下

水が流れ始めた田を前に「ようやく田植えができる」と話す高久さん(12日、矢吹町沢尻で)
水が流れ始めた田を前に「ようやく田植えができる」と話す高久さん(12日、矢吹町沢尻で)

 矢吹町や鏡石町では、渇水による農業用水不足などで、いまだに田植えが終わらない地区がある。通常年の1か月遅れという異例の事態で、収穫減につながる恐れもある。近年、矢吹町では水不足を理由に稲作を諦める農家も相次ぐ。県は「県南以外にも平年の貯水率を大幅に下回る農業用ダムがある」として警戒を強めている。(石塚人生)

 「田んぼを50年以上やっているが、6月半ばでまだ田植えができない年は初めて。収量はせいぜい平年の半分程度だろう」。12日、矢吹町のコメ農家高久正美さん(72)は、ようやく水が流れ込んできた水田を見つめ、無念そうに語った。

 矢吹町やJA夢みなみ(須賀川市)によると、田植えが遅れているのは同町東部の沢尻地区など4地区の約3ヘクタール。まだ水を張れてもいない田もある。

 背景にあるのは「羽鳥ダム」(天栄村)の水量不足だ。白河、須賀川両市など県南5市町村の水田約1450ヘクタールが、ここから取水している。しかし、今年は積雪が平年の半分程度しかなく、貯水率が低かった。そのうえ、老朽化しているパイプラインの水漏れが相次ぎ、復旧工事の影響で放水開始が10日程度遅れた。このため、パイプラインの下流の集落で田植え作業が遅れている。

 同町東部では震災以降、農業用水の不足が続き、昨年だけで約20ヘクタールの水田で耕作を断念し、大豆などの畑作に転換している。当面は農業用水を有効に使うため、JAが農家に適切な水管理を指導するという。

 現在の貯水率は57%ほどで、梅雨の降水量が少なければ、最も水が必要な出穂時期の8月に放水できなくなる恐れがある。野崎吉郎・矢吹町長は「ダムの渇水傾向が数年続いている。水不足が収穫に影響するのが心配だ」と話す。

 県農地管理課によると、今月7日現在、平年の貯水率を大幅に下回る農業関係ダムはほかにもある。犬神ダム(白河市)の貯水率は平年の1割程度の6・3%。農業、工業用の横川ダム(南相馬市)は3割程度の21・5%にとどまる。南相馬市の門馬和夫市長は10日の記者会見で、工業関係者などに節水協力を呼びかけた。

 昨年は猛暑の影響で夏場に水不足となり、県全域でコメやモモなどの収穫に影響が出た。今年も天候次第で同様の事態を招きかねない。同課は「現時点では局所的に不足が深刻な地域がある。ダムの水を管理する土地改良区などの放水の工夫や、農家の節水協力が必要になってくる」としている。

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638800 0 ニュース 2019/06/15 05:00:00 2019/06/15 05:00:00 2019/06/15 05:00:00 ようやく水が流れ込み始めた田を見つめ「いつ田植えができるのか」と嘆く高久さん(6月12日午後3時48分、矢吹町沢尻で)=石塚人生撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/06/20190615-OYTNI50000-T.jpg?type=thumbnail

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