只見線復旧難航 2011年豪雨で寸断

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復旧工事が難航している第6只見川橋梁。両岸にケーブルが渡されている(23日、金山町で)
復旧工事が難航している第6只見川橋梁。両岸にケーブルが渡されている(23日、金山町で)

全線再開 遅延の危機

 会津地方に大きな被害をもたらし、JR只見線を寸断した2011年7月の新潟・福島豪雨から、29日で9年となる。鉄橋3本が流失した会津川口―只見駅間(27・6キロ)の復旧工事は18年5月に始まったが、悪天候や事故などで工程に遅れが生じている。県が目指す「21年度中の全線再開」が危ぶまれている。(堀内佑二)

 流失したのは、第5、6、7只見川橋梁きょうりょう(金山町)。JR東日本は復旧工事について「21年度中の完工」を目標とし、仙台支社によると、いずれも橋脚工事は完了。第5橋梁は橋桁も架かった。だが、第6橋梁は複数の要因で工事が難航しているという。

 一つは現場の地質。岩盤の形が想定より複雑で、両岸に引き渡すケーブルを固定するアンカーの打ち込み作業が進んでいないという。さらに、今年3月には斜面の岩が崩落し、作業員が下敷きになって死亡する事故が起きた。昨秋の台風19号など悪天候も重なり、三林宏幸支社長は「工程に計画よりも遅れが出ている。計画全体に及ぼす影響や、遅延をどの程度取り戻せるかなどを判断して、分かり次第お知らせしたい」とする。

 復旧工事が完了しても、すぐに営業運転を再開できるわけではない。国土交通省による検査や、乗務員の訓練運転が必要で、それらには数か月かかる。完工の時期次第では、全線再開が22年度にずれ込む可能性も出ている。

 不通区間では今も代行バスの運行が続く。復旧を応援する住民らでつくる「JR只見線愛好会」の目黒彰一会長(84)は「人口減が続く奥会津にとって、只見線の全線再開は明るい希望。一日も早い復旧を願う」と話している。

公的負担54億円 費用対効果疑問の声

 只見線は沿線住民の生活の足であると同時に、只見川の絶景を楽しめる秘境路線として人気があった。県は全線再開を機に観光路線化を進めようと、昨年10月から絶景ポイントでの減速運転や音声ガイド、特産品の車内販売などを実施してきた。だが、鉄路での全線再開に懐疑的な声もある。

 「只見線が1本につながってこそ意味があると考えるのは共同幻想にすぎない」――。今年5月に公表された県の包括外部監査の報告書にこんな意見が盛り込まれた。復旧で国、県、会津地方17市町村の負担金は総額54億円にも達し、割に合わないという主張だ。

 報告書によると、被災前の2010年度、不通区間の利用者は1日わずか49人。路線全体では、高校生などが通学に利用する会津若松―会津坂下駅間の利用者数が圧倒的に多かった。

 また現行ダイヤは、会津若松市に宿泊した旅行客が奥会津を観光するには不便で「もっぱら生活路線であり、観光路線にはなり得ない」という。最終的に「全線復旧という精神的価値に54億円を費やし、年間2・1億円の運営費を毎年負担するよりは、バス代行輸送にした方が現実的対応だった」と結論づけている。

 監査した公認会計士の橋本寿氏は「代行バスの方が利便性が高いという住民もいる。暴論に聞こえるかもしれないが、(鉄道での復旧に)賛成の声ばかりではないと知ってほしかった」と説明する。

 県只見線再開準備室の村田文夫室長は「一つの考えと受け止めており、これまでの取り組みを翻すことはない。今後も只見線を軸にした地域振興について理解してもらえるよう取り組んでいく」と話している。

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1371914 0 ニュース 2020/07/29 05:00:00 2020/07/29 05:00:00 2020/07/29 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/07/20200729-OYTNI50004-T.jpg?type=thumbnail

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