富岡町 復興拠点宿泊可能に 2022年春から 事実上の帰還開始
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富岡町の宮本皓一町長は15日、帰還困難区域に設ける特定復興再生拠点区域(復興拠点)で、2022年春から住民が宿泊できるよう国と協議していると明らかにした。復興拠点内の除染やインフラ復旧が整うためで、立ち入り規制も緩和する。事前の許可を得ずに宿泊できるようになれば、事実上の帰還が始まることになる。復興拠点で宿泊開始時期の見通しが示されるのは初めて。
同日開かれた町議会9月定例会の一般質問で、宮本町長は「これまでに避難指示が解除された地域同様、解除の1年前となる22年春に『準備宿泊』を開始することが理想」などと答弁した。
町内の復興拠点は約390ヘクタールあり、帰還困難区域のほぼ半分を占める。町は23年春の避難指示解除を目指している。21年秋までに拠点内の除染と上下水道の復旧が完了する見通しが立ったことから、解除前に宿泊を認める時期について内閣府や環境省と協議を続けてきたという。町の担当者は「解除前に自宅に宿泊することで、暮らしの様々な課題を浮き彫りにし、帰還をスムーズに進めていきたい」と話している。
宿泊と立ち入りは復興拠点の全域で可能になる見通しで、バリケードも撤去される。拠点内の2割にあたる76ヘクタールが宅地で、震災前は約1800世帯(約4000人)が住んでいた。帰還困難区域内では今年3月、JR夜ノ森駅周辺や町道など約7ヘクタールの避難指示が先行して解除されたが、宅地は含まれず、住民の帰還は実現していない。
復興拠点のある他の自治体では、双葉町や大熊町、葛尾村が22年春の帰還開始を目指している。宿泊開始時期などは明らかになっていない。