大雨の中なぜ帰宅した

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南相馬市職員死亡 寂しさ募る父親

 昨年10月13日未明、台風19号による河川氾濫に巻き込まれ、南相馬市職員の大内涼平さん(当時25歳)が帰宅中に死亡した。「今でもひょこっと帰ってくる気がするんだ」。父の敏正さん(57)は、そんな思いを抱き続けている。(柿井秀太郎)

 市内にある涼平さんの自宅の部屋は、間もなく1年となる今もほぼ手つかずのままだ。壁には趣味で集めた特撮もののポスター。ベッドに部屋着を置いているのは、「いつ帰ってもくつろげるように」という思いからだという。

 あの日は全てが悪い方向に重なったとしか思えない、と敏正さんは考える。なぜ市役所の上司は涼平さんに帰宅を指示したのか。違う時間帯に帰れば無事だったかもしれない。

 帰宅しない息子を車で捜しに出た敏正さんは、13日未明、冠水した交差点でバンパーを破損させて引き返した。明け方、涼平さんの遺体が見つかった場所は、そこから100メートルも離れていなかった。一歩間違えば自分も死んでいた。「生と死は紙一重。涼平は天命だったのだろうか」と自分に言い聞かせる時もある。

 市が設置した調査委員会は6月、涼平さんが今回のルートで帰宅することを「予見できなかった」として市側の責任を否定。そのうえで、「結果的に職員の命を守れなかった」として遺族に弔慰金50万円を支払うことを決めた。

 「息子の命はお金に換えられるものではない」と敏正さんは語る。今は一人、仏壇を見ながら風呂上がりにビールを飲む。たわいのない会話が幸せだったことに気づき、寂しさが募るという。

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