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福島の医師川俣で開院 「承継バンク」活用1例目 

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開院した診療所の前で握手を交わす三宅さん(左)と角田さん(1日、川俣町で)
開院した診療所の前で握手を交わす三宅さん(左)と角田さん(1日、川俣町で)

 地域医療を担う診療所の存続を支えるため、県などが設置した「医業承継バンク」を活用した診療所が今月1日、川俣町にオープンした。同バンクのマッチングによる診療所開設は初めてだ。(小沼聖実)

 開院したのは、町中心部から北西に約4キロ離れた福田地区の「十二社じゅうにしろ内科外科」。地域で唯一の診療所だった「十二社クリニック」が昨年3月に閉院後、約1年半にわたり空白地域となっていたが、福島市の三宅弘章医師(67)が、バンクの仲立ちで事業を引き継いだ。

 バンクは県が県医師会に委託し、昨年2月に開設した。後継者を探している県内の診療所をデータベースに登録し、開業を検討している全国の医師とマッチングする仕組みだ。医師はバンクに登録すると、診療所の詳細な情報を閲覧でき、視察するための交通費などが県から補助される。

 三宅さんは、福島市で開業していた診療所を長男が継いだため、医師として新たに働ける場所を探してバンクに登録。診療所内部の見学や前院長の角田理恵子さん(71)らとの面談を重ね、承継を決めた。三宅さんは「バンクがなければ、ここが閉院したのを知ることもなかった」と話す。

 十二社クリニックは、川俣町出身の角田さんが25年間営み、住民に親しまれてきた。医師は角田さんだけで、往診も行い、患者から電話があれば夜でも駆けつけた。70歳のとき「一人で地域医療を支えていくのは、体力的にも精神的にも限界」と引退を決意。数百通の紹介状を書き、患者はすべてほかの医療機関へつないだが、住民のことは閉院後も気にかかっていた。

 「この地域に育ててもらったと思っている。地域住民にまた通ってもらえるようになり、本当に安心した」。1日の開院式で、角田さんは安堵あんどの表情を見せた。

 診療所の再開に、町保健福祉課も「高齢になり病院までの運転が不安な住民は多い。近所の通い慣れた診療所が継続するのはありがたい」と歓迎している。

登録呼びかけ 県医師会

 医業承継バンクに登録している医療機関は現在19か所で、開業を希望する医師は17人。事業承継に向けて2件が交渉中という。

 県地域医療課によると、2016年時点で県内の診療所の医師は60歳以上が52・2%を占める。院長が高齢で引退するなどで、診療所数は10年の1457から、18年には1351に減少した。子供など親族に医師がいない場合、地域外から後継の医師を呼び込むのは難しい。バンクがその役割を果たすことが期待されるが、医師や診療所の登録数が増えずに苦戦しているという。

 県医師会はネット広告で全国にアピールするほか、承継を検討する医師の選択肢が広がるよう、県内の診療所にも積極的な登録を呼びかける。担当者は「今後ますます事業承継の需要が増える。住民が困らないためにも、取り組みを浸透させたい」としている。

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1672980 0 ニュース 2020/12/04 05:00:00 2020/12/04 05:00:00 2020/12/04 05:00:00 引き継いで開院した診療所の前で握手を交わす三宅さん(左)と角田さん(川俣町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201203-OYTNI50022-T.jpg?type=thumbnail

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