読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

大堀相馬焼の火西郷で 「松永窯」避難先で再建へ

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

新工房再建を決めた松永和生さん(中央)と、長男の武士さん(左)、妻の京子さん(右)(西郷村で)
新工房再建を決めた松永和生さん(中央)と、長男の武士さん(左)、妻の京子さん(右)(西郷村で)
「走り駒」と「青ひび」が特徴の大堀相馬焼
「走り駒」と「青ひび」が特徴の大堀相馬焼

 原発事故で西郷村に避難し、プレハブの仮工房で作陶していた大堀相馬焼の「松永窯」(浪江町)が、現在の避難先に新工房を再建すると決めた。開業予定は震災10年となる来年3月。3代目窯元の松永和生さん(71)は「浪江に戻りたいとの思いはあるが、元の工房は帰還困難区域で避難指示解除のメドが立たない。後継者育成を考えると、ここで決断するしかなかった」と複雑な心境をのぞかせる。(佐野泰彦)

 松永さんは原発事故後、親類を頼って栃木県那須町に避難。ハローワークで職を得て、学校など公共施設で草むしりをするアルバイトをするなどして食いつないだ。

 資金不足でしばらく窯を再建できなかったが、国の伝統的工芸品の大堀相馬焼の再建に経済産業省の補助金が出ることになり、2014年4月、同町から車で通える西郷村に土地を借りてプレハブ工房を建設。「いつかは浪江に帰るぞ」と心に誓い、作陶を続けてきた。

 しかし、17年12月に認定された浪江の特定復興再生拠点区域(復興拠点)から大堀地区は外れた。「覚悟していたがやっぱりだめか。自分ではどうすることもできない、むなしさがこみ上げた」

 一方、仮工房では当時、地域おこし協力隊の若者が働き、海外でビジネス経験を積んだ長男武士さん(32)が4代目として戻ってきた。各地で窯の復興に向けて取り組む工房仲間の存在も励みになり、次第に西郷村での再建に心が傾いた。

 また、震災で被災した中小企業の施設・設備の復旧費用の4分の3を支援する国の「グループ補助金」が今年度末で終了することも決断するきっかけとなった。「年齢を考えれば冒険かもしれないが、次世代に託せるものを残したい」と腹をくくった。

 新工房は自宅も兼ね、プレハブ工房と同じ場所に建設。木造平屋約350平方メートルを予定しており、陶芸家志望者を受け入れて後継者を育成するほか、観光客向けの作陶体験コーナーも設ける予定だ。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着けば、周辺自治体などと協力し、外国人観光客を中心に滞在型のプランを提案する計画もあるという。

 松永さんは「西郷村の人たちが温かく迎え入れてくれたから、今も陶芸を続けられている。村での工房再建は恩返しの意味もあり、地元の人も出入りする楽しく、にぎやかな場所に育てていきたい」と話している。

大堀相馬焼 浪江町大堀地区で江戸時代から300年以上続く焼き物。相馬中村藩の神馬しんめ「走り駒」の絵付けや、陶器全体を模様のように覆う「青ひび」と呼ばれるひび割れ、二重構造で熱いお茶などでも持ちやすくする「二重ふたえ焼き」が特徴。国の伝統的工芸品に指定されている。大堀相馬焼協同組合によると、震災前は地区内に21戸の窯元があったが、現在再開しているのは県内で9戸、長野県で1戸にとどまっている。

無断転載・複製を禁じます
1672985 0 ニュース 2020/12/04 05:00:00 2020/12/04 05:00:00 2020/12/04 05:00:00 大堀相馬焼の作品を手に談笑する松永和夫さん(中央)、武士(左)、京子さん(右)(西郷村の仮工房で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201203-OYTNI50024-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)