再エネ活用水素がつなぐ 持続可能な社会実現へ

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

「水素を他の技術とつなぐ構想力が重要になる」と話す大平室長(浪江町の福島水素エネルギー研究フィールドで)
「水素を他の技術とつなぐ構想力が重要になる」と話す大平室長(浪江町の福島水素エネルギー研究フィールドで)
開所から2年を迎えた福島水素エネルギー研究フィールド(7日、浪江町で)
開所から2年を迎えた福島水素エネルギー研究フィールド(7日、浪江町で)

福島水素エネルギー研究フィールド開所2年

 浪江町の水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド」は7日、開所から2年となった。太陽光発電を活用し、二酸化炭素を出さずに作られる「再生可能エネルギー由来の水素」は、脱炭素化への潮流で注目度が高まっている。水素の可能性や施設の意義について、実証事業を担う新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の大平英二燃料電池・水素室長(53)に聞いた。

 「環境にやさしい」という漠然とした期待感に包まれていた「水素」がリアリティーを持ち始めている。

 水素の製造に活用すれば、再生可能エネルギーは余すことなく使える。施設での実証事業を通して、持続可能な社会の実現に寄与したい。

 再エネが多く導入されると、エネルギーのあり方は根本的に変わるだろう。これまで電力は、大規模な発電所から一元的に供給されていた。日本の狭い国土の各地に太陽光や風力など、大小さまざまの発電設備ができると、需給のバランスを取ることが難しくなる。

 水素製造装置の役割は「つなぐこと」と言える。施設で太陽光発電から製造した水素は、道の駅なみえなどの燃料電池で電力や熱に用いられている。天候に発電量を左右される再エネが、水素への転換によって、多用途へ安定的に使えるようになる例だ。

 車が安全に走るにはハンドルに「遊び」が要るように、物事はかっちり作りすぎるとうまくいかないことがある。貯蔵や輸送が可能な水素は、複雑化するエネルギーの体系に柔軟性や余裕を与え、新たなつながりをもたらしてくれる。

 施設での目標は、水素製造装置の大型化に道筋をつけ、しっかりした運転技術を確立すること。大型の製造装置が実用化すれば、調整できる電力量も増え、再エネが使いやすくなる。

 昨秋改定された国のエネルギー基本計画は、2030年度の電源構成に占める再エネの割合を「36~38%程度」に引き上げた。県内では電力消費量に対する再エネ割合が、25年度までに100%となる見込みだ。原発事故を経験した福島には、再エネをうまく生かす潜在能力がある。

 開所時は世界最大の施設だったが、欧米の計画が急速に進んでおり、「世界最大級」の冠も早晩使えなくなるだろう。それでも、有数の施設なのは間違いない。欧米に置き去りにされないよう、経験を積み重ねていきたい。

 ここは研究拠点なので、雇用を直接は生み出せないものの、未来の可能性は発信できる。遠方からでも訪れる価値がある。人の流れを作り出すための一種の観光資源としても、施設を戦略的に活用してもらえればいい。

 これからの課題は、人材をいかに確保するか。長期的な視点を持って、中学生や高校生たちに水素の面白さを伝えていきたい。

福島水素エネルギー研究フィールド

 原発事故後、東北電力の「浪江・小高原発」建設計画が中止され、その予定地にNEDOと民間企業3社が整備した。約6万8000枚の太陽光パネルによって水を電気分解し、水素を製造している。1日で一般家庭150世帯の1か月分の電力量を賄える。水素はあづま総合運動公園やJヴィレッジ、道の駅なみえなど、県内各地で用いられている。

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
2817908 0 ニュース 2022/03/08 05:00:00 2022/03/08 05:00:00 2022/03/08 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/03/20220308-OYTNI50002-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)