選手13人笑顔絶えず 只見ナイン感動呼ぶ

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初戦で敗れたものの、選手13人の只見にアルプススタンドから大きな拍手が送られた
初戦で敗れたものの、選手13人の只見にアルプススタンドから大きな拍手が送られた

 選抜高校野球大会で只見の1回戦を取材中、私の目から自然に涙がこぼれた。初回の守りでエース酒井悠来投手(3年)が得意のカーブで、相手の中軸を併殺打に仕留めたときのことだ。ナインが笑顔で跳びはね、ベンチに駆け戻る姿が無性にうれしかった。選手13人で迎えた甲子園の舞台――。厳しい戦いになると覚悟はしていたが、はつらつとしたプレーに感動をもらった。(綿井稜太)

降雨の影響で試合開始が遅れ、大垣日大―只見の一戦が終わったのは午後8時19分だった
降雨の影響で試合開始が遅れ、大垣日大―只見の一戦が終わったのは午後8時19分だった

 福島から2013年以来、9年ぶりに2校が出場した今大会。同校は過疎化が進む豪雪地域にありながら、昨秋の県大会で初の8強入りを果たしたことが評価され、21世紀枠で選ばれた。

 出場決定後、福島市から片道3時間以上運転し、只見町を4回訪れた。グラウンドには3メートル以上の雪が積もり、日が沈むと辺りは真っ暗になる。「本当にここから甲子園出場が決まったのか」と驚かされた。町民に話を聞くと、「まさか只見から甲子園に行くなんて」「人生で一番のお祭りだ」と一様に喜んでいた。

 今大会、大阪桐蔭の強さが際だった。だが、私にはとりわけ、只見ナインの野球を心から楽しむ姿が印象に残った。

 3月22日の大垣日大(岐阜)との試合は、選抜大会の記録が残る中で最も遅い午後6時26分に始まった。「原稿の締め切りに間に合うのか」。そんな不安をすぐに忘れてしまうほどの球場の熱気だった。実戦で130キロ台の速球に対応したことがない選手たち。それでも必死で食らいついた。四回に山内友斗選手(3年)の右前適時打で1点をもぎとると、盛り上がりは最高潮に達した。試合後、選手らはアルプススタンドの町民のもとに駆け寄るときも笑顔を絶やさなかった。

 「一瞬の夢のような舞台だった」。吉津塁主将(3年)の笑顔は充実感に満ちていた。母のなおみさん(47)をはじめ、保護者はスタンドで涙が止まらなかったという。

 後日、只見町の読者から弾んだ声で、私の携帯電話に連絡があった。「こんなにいい試合をしてくれるなんて。こんな感動は只見に住んでいて初めて」

 これまではどこか勝ち負けにこだわって取材をしていたかもしれない、と気づかされた。あの試合を思い出す度、いまも目頭が熱くなってしまう。

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2891185 0 ニュース 2022/04/04 05:00:00 2022/04/04 05:00:00 2022/04/04 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/04/20220403-OYTNI50060-T.jpg?type=thumbnail

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