ハンター高齢化、養成にも力

有害鳥獣処理の負担軽減へ下呂市が新施設

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わなにかかったシカに近寄る松田さん(10月26日、下呂市野尻の山林で)
わなにかかったシカに近寄る松田さん(10月26日、下呂市野尻の山林で)

 農作物を荒らすシカやイノシシなどの有害鳥獣について、下呂市は駆除された有害鳥獣を処理する施設を年度内に整備する。高齢化が進むハンター(狩猟免許所持者)の悩みの種となっていた死骸処理の負担を軽減するのが狙いで、地元からは歓迎の声が上がる。一方、高齢化とともにハンターの減少も大きな課題で、県も体験イベントなどを催して養成に力を入れている。(伊藤幸典)

 

 ◆シカを解体

 

 10月26日、下呂市内の山林に仕掛けられたワイヤ製わなに雄ジカがかかった。仕掛けたのは、同市野尻の松田国男さん(74)。松田さんはハンター歴50年のベテランで、地域の農家から「農作物が荒らされた」との連絡があると、周辺の里山にわなを仕掛け、年にシカとイノシシ計約50頭を駆除する。

 有害鳥獣の死骸は一般廃棄物に該当し、穴を掘って埋めるか、自治体のごみ焼却場に運んで処理してもらう必要がある。下呂市ごみ焼却場へは、設備の関係から死骸を30センチ以内に切断して持ち込まなければならない。

 この日捕獲したシカは3~4歳で体長140センチ、体重約50キロ。妻の房子さん(72)と2人で解体した松田さんは「埋めるには深さ1メートル以上の穴を掘る必要があり、浅いと熊などに掘り返される。穴を掘るのは大変で、全て焼却場に持ち込んでいます」と話す。作業は2人がかりで40分かかった。

 

 ◆不法投棄事件

 

 下呂市猟友会は2015年、有害鳥獣の死骸を丸ごと処理する施設の整備を請願し、市議会で採択された。請願のきっかけは同年、養老町で起きたシカの死骸の不法投棄事件。廃棄物処理法違反容疑で書類送検された60代の同町猟友会員は「手間がかかるため捨てた」と供述した。市猟友会の斎藤正巳会長は「事件はひとごとではない。埋めるにしろ切断するにしろ、高齢ハンターにとっては重労働だ」と請願の理由を語る。会員約140人の6割強が70歳以上という。

 こうした動きを受け、下呂市は新処理施設を年度内に完成させる。ハンターは死骸を大型冷凍庫に運ぶだけでよく、その後は市職員が裁断機で切断し、焼却場に運んでくれる。松田さんは「来年からはずいぶん楽になる」と期待する。

 松田さんに駆除を依頼する農家は70歳以上がほとんどという。「獣害が少なくなったと感謝されるのが励み。少しでも長く農業を続けてもらいたいが、私もいつまでできるか……」と案ずる。

 

 ◆若い人材求む

 

 県内ハンターは約4800人(2016年度)で、ピークだった1970年代の3分の1以下になっており、県は多くの人に狩猟免許を取るきっかけを作ってもらうためのイベントを開くなどしている。

 今年8月には、初めて狩猟の魅力を伝えるバスツアーを開催。揖斐川町で実施されたツアーは定員の30人が全て埋まり、女性も9人が参加した。県内各地から20~70歳代の幅広い世代の人が現役ハンターの話を聞き、射撃場を見学し、狩猟の魅力を体感した。

 県環境企画課は「鳥獣被害の防止やとんコレラの問題でも、野生イノシシを調査捕獲する上では、猟師の協力が不可欠だった。若手の人材もどんどん増やせるきっかけ作りをこれからも進めたい」としている。

無断転載禁止
48411 0 ぎふ発 2018/11/08 05:00:00 2018/11/08 05:00:00 わなにかかった雄ジカに近寄る松田さん(10月26日午前8時32分、下呂市野尻の山林で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181107-OYTAI50008-T.jpg?type=thumbnail

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