識者「労務管理企業と同様に」

働き方改革、私学で進まず 労基署から是正勧告も

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 国が推進する「学校における働き方改革」で、公立学校は労働環境の改善を進める一方、私立学校での取り組みは行政も十分に把握しておらず、不明な部分が多い。県内では学校法人が、労働時間の記入を怠ったなどとして、労働基準監督署から是正勧告を受けた事例が判明。専門家は「教育現場であっても、私立学校では一般企業と同じ労務管理が求められるという認識を広める必要がある」と指摘している。(茶山瞭)

 

 読売新聞が情報公開請求で入手した労基署の資料などによると、是正勧告を受けたのは、岐阜市内で私立学校を経営する学校法人で、勧告は2015年12月。それ以前の教員の出退勤管理は、出勤簿への押印のみで、出退勤の時刻を記録させていなかった。このため、地元の労基署から、賃金台帳の中に労働時間などの記入を義務付けた労働基準法違反などを指摘された。

 教員は、面談や面談準備、テストの採点などで定時を過ぎても働いていたが、残業申請は全くなされておらず、土日に行われる学校の部活動に関する時間外労働についても割増賃金が支払われていなかったという。

 同法人は勧告を受け、過去3か月間の労働時間を把握し直した上で、教員に未払い賃金を支給。教員の出退勤時刻を適切に記録するなど、労務管理のあり方を改善した。同法人の担当者は「教師はどこまでが仕事か分からない特殊な業種なので、外部から指摘を受けなければ問題に気づかなかった。一般企業と同水準で労務管理を考える必要があると認識した」と打ち明ける。

 全国の教育委員会が教員の働き方改革を進めている中、私立学校の働き方の問題は公になりにくいのが現状だ。県私学振興・青少年課の担当者は「私立の労務管理については各学校任せで、行政としては把握していない」と説明する。

 

■「みなし残業代」私立でも 

 

 全国の学校法人などで構成する公益社団法人「私学経営研究会」が昨年6~7月に実施した「私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査報告書」では、有効回答を得た私立高校332校のうち、出勤簿に教員の出勤時刻を記入していない学校は208校に及んだ。退勤時刻は、67校で記入しておらず、「確認しない」は108校に上った。

 公立学校では、1972年に施行された「教員の給与等に関する特別措置法(給特法)」に基づき、教員には残業代を支払わない代わりに、基本給の4%を一律に上乗せすると規定。労働時間にかかわらず給与が変わらない仕組みで、教員の「働き過ぎ」が生まれる要因になっている。同報告書などによると、多くの私立高校が、公立学校の制度に準じ、「みなし残業代」として基本給の4%を一律に上乗せする額を支給する仕組みを取り入れている。

 名古屋大学の内田良・准教授(教育社会学)は「労基署の立ち入りの対象となり、是正勧告などを受けている状況が、私立学校の労務管理の実態を示している。一般企業と同様に法令を順守する意識を広めることが必要だ」と指摘している。

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52868 0 ぎふ発 2018/12/09 05:00:00 2018/12/09 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181208-OYTAI50006-T.jpg?type=thumbnail

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