ガラス工芸作家 安土天平(てんぺい)さん 37

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吹きガラス作家 安土天平さん 37(高山市松本町で)
吹きガラス作家 安土天平さん 37(高山市松本町で)

◆使ってもらえる器に

 高山市郊外の丘陵地にあるガラス工房「あづち」で、ガラスを吹き始めて11年。農業の傍ら作品を作り始めて40年以上になる父・忠久さん(70)に師事し、オンリーワンの作品を追求し続けている。

 子供の頃から忠久さんの仕事を見ながら、ガラスの器に囲まれて育った。小、中学校の夏休みの自由研究では、仕事場でガラスを吹かせてもらい、作品を学校に持って行った。「持ち帰るのが面倒で、友人に『好きなの持っていきな』と、あげていました。当時のコップやペーパー・ウェート(文鎮)をまだ持っていてくれる同級生もいます」と、振り返る。

 「大学も行きたいし、ガラスもやりたい」。将来の進路選択で悩んだこともあったが、大学卒業後は2年間、富山ガラス造形研究所で専門技術を身につけ、忠久さんの工房に入った。

 生み出される作品は、少し厚みがあって重量感がある。薄黄色を帯び、温かみがにじみ出る。

 「ガラスには透明感があります。主役ではなく、脇役として、中に入れる物を引き立てることができる。自己主張の強い器は飾るだけになる。いつまでも使われ続け、しかも存在感がある器に魅力を感じます」

 毎日5~6時間、工房でガラスを吹き、酒器やウイスキーグラスなど30~40個の作品を作る。「うまくできている時はいいのですが、失敗すると疲れがすごい。精神力が必要。仕事はすべて自分に返ってきます」と、厳しさも実感している。

 作品は地元で「安土ガラス」と呼ばれ、高山市内のギャラリーで常設展示されている。関西のデパートやイベント会場での年1回の展示会を、楽しみにしているファンも多い。「飛騨・高山クラフト展」で、会長賞を受賞したこともあるが、「ものを作ることが楽しく、アピールは苦手。作家と言うより職人寄りな人間なので、賞にはあまり興味がない」と苦笑する。

 子供の頃から好きなもの作りと、自由な発想が「自分の原点」だと思う。

 「ものを作るということは、自分と素材との対面。自分の気持ちが作品に表れるから、自由な気持ちでガラスに向かいます」。困った時は、忠久さんにアドバイスを求めるが、可能な限り失敗を繰り返し、学んでいる。一発勝負の作品作りには、集中できる高山の住環境は理想的だ。

 「お金を出して、自分の作ったものを買ってもらえる、やりがいのある仕事。使いやすい100円ショップの品と並べて、自分のものを選んでもらえる器を作りたい。完璧は難しいが、身の回りで使ってもらえる器にこだわりたい」。約1300度の窯から取り出したガラスに、命を吹き込んだ。(川口武博)

<メモ>高山市生まれ。県立斐太高、金沢大文学部史学科卒。学生時代は「ケルト神話」に興味を持ち、「過去を想像するのが好きだった」という。工房がある同市松本町内には、吹きガラス作家の兄も工房を構える。独身。

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50039 0 ひゅーまん岐阜 2018/11/19 05:00:00 2018/11/19 05:00:00 吹きガラス作家 安土天平さん 37(高山市松本町で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181118-OYTAI50008-T.jpg?type=thumbnail

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