岐阜の方言を研究する岐阜大学教育学部教授 山田敏弘さん 53

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岐阜大学 山田教授
岐阜大学 山田教授

◆言葉通じ故郷探る

 

 岐阜大学に赴任して今年で18年。一貫して取り組んできた方言研究の集大成となる「岐阜県方言辞典」を昨年末に上梓した。県内各地を現地調査し、郷土史を渉猟した成果で、方言を約2400項目に分類して解説。専門書であるにもかかわらず、250部を完売して再販も決まり、浩瀚こうかんな書物を手に「これで一区切りです」と頬を緩める。

 

 これまでに学んだ言語は、十数か国語を数える。「言語」に向けられた学究心の根源には当初、故郷である岐阜ではなく、海外があった。

 

 中学生の頃に、ラジオを通じて外国語に関心を持ち、高校時代はスペイン語、フランス語、中国語など、様々な言語を独学し、海外に対する憧れを膨らませた。

 

 そんな時期に知ったスイスの少数言語「ロマンシュ語」に強くひかれ、進学した名古屋大学では、言語学を専攻。大学院の修士課程では、就職を見据えて研究対象を日本語に変更し、イタリアのローマ日本文化会館に勤務。外国人を相手に日本語を指導した。

 

 言語を使い、国際的な仕事をする。昔から思い描いていた夢がかなった一方で、受講者からの質問に満足に答えられず、「日本語を本当は分かっていない」と、無力感を覚えた日々でもあった。

 

 日本語学を本格的に学ぼうと決意し、1994年に大阪大学大学院の博士課程に入学して研究に没頭。「お金はなかったけれど、勉強漬けで至福の3年間だった」と振り返る。

 

 岐阜弁に「再会」したのは、その頃。教官から故郷の言葉について問われたのがきっかけだった。「岐阜方言は大した特徴もないし、面白くないですよ」と応じると、教官の口から出たのは、意外な言葉だった。「岐阜出身なのに、地元の言葉の面白さを何も知らないんだ――」。こんなやり取りが、無関心だった方言に対する興味と情熱をかき立てた。

 

 2001年に故郷に戻ると、方言の研究に本格的に着手した。学生とともに県内各地に宿泊し、住民の言葉を聞き取った。その過程で、岐阜方言の魅力に気付かされただけでなく、岐阜の豊かな気候風土や文化も知り、地元に誇りを持つようになった。

 

 かつて海外に向けられた視線は、故郷に向けられる。「岐阜は、東西の言葉が融合する地。岐阜の方言は、西から東に移る移行地帯という特徴が強く、語彙ごいは西に近く、アクセントは東寄り。段々と変わっていくところがすごく面白い」

 

 方言といえば、「古くさいイメージ」がある。だが、「僕らはちゃんと根っこを知り、郷土の言葉に価値を見いだし、学ぶべきものを学んで文化を築いていかなければならない。岐阜の人たちの生き様を改めて位置づけ、後世の子どもたちに伝えたい」と力を込める。

 

 方言辞典を完成させたいま、「辞典でまとめた語彙や文法にとどまらず、実際に使われている『談話』の研究も進めたい」と、さらなる目標を掲げる。言葉を通じ、故郷を掘り下げる研究は、まだまだ終わらない。(茶山瞭)

 

◇岐阜市在住。講義では、学生に関心を持たせるため、ポップな題材を取り入れる。今年は県を舞台にしたNHK連続テレビ小説「半分、青い。」に登場した「やってまった」などの岐阜弁を分析した。「岐阜県謎解き散歩」「あの歌詞は、なぜ心に残るのか」「その一言が余計です。」など、著書や編著は20冊を超える。

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55660 0 ひゅーまん岐阜 2018/12/24 05:00:00 2018/12/24 05:00:00 岐阜大学 山田教授 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181223-OYTAI50000-T.jpg?type=thumbnail

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