絵本専門店「おおきな木」店主 杉山三四郎さん 66

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絵本通し 親子つなぐ

 オルゴールの音楽が流れる店内には、ベストセラー「こぐまちゃんえほんシリーズ」から新刊まで、約1万冊の絵本をそろえている。岐阜市で絵本専門店を開いて四半世紀。「絵本は絵と生の声で、親子をつないでくれる。読み聞かせの間に感じる親の膝のぬくもりは、大人になっても覚えているものです」と、絵本の魅力を力説する。

 大学時代のアルバイトが、子どもに視線を向けるきっかけになった。長野県のキャンプ場で、子どもの世話をするリーダーを募集する貼り紙を偶然、大学構内で見つけて応募した。夏休みの40日間、ハイキングや飯ごう炊さんなどをして、子どもたちと過ごすうちに、「子どものための仕事に目覚めた」。

 就職先は、アルバイト先だった東京の子ども向け英語教室の運営会社。英語劇やダンス、ゲーム、キャンプ、海外でのホームステイ交流などに取り組んだが、次第に「子ども本位の活動になっているのだろうか」と思うようになった。「子どもに与えられる課題やプログラムは、大人が考え、大人が決めたもの。子ども本位にするため、キャンプの際に課題を与えるのはやめたらどうか」と、提案したものの聞き入れられなかった。

 親の看病のため、1989年に名古屋市へ転勤し、故郷の岐阜市から通った。94年に再び東京に転勤になりそうになり、「自分の思いをかなえたい。新しいことをするには、退路を断たないと」と、退職を決めた。

 相続した市内の土地に、「親子で来てもらう店を作りたい。親と子をつなぐ絵本の店を始めよう」と、絵本専門店の開業を決意。銀行への事業計画書提出、絵本の仕入れ業者探しなど、「初めての経験ばかりで苦労の連続」だった。退職した年の5月5日の「こどもの日」に開業にこぎつけた。

 店は1階が絵本販売、2階はイベントスペース。店内での絵本の読み聞かせや、絵本作家を招いたライブなど、イベントも多数手がける。昨年には改装し、ショーウィンドーをきれいにし、店外には木製のいすを置いて、親子でくつろげるようにした。「最近は本のネット通販や電子書籍が増え、経営は楽ではありません。続けられる限りは続けていきたい」と語る。

 「急いで大人にならなくてもいい。子どもの好きなようにさせ、親はちょっと後からついていく感じで見守るのがいいと思うのです。一度や二度、転んだって、いいじゃないですか」

 あくまで子ども目線を貫いていくつもりだ。(増実健一)

 岐阜市出身。ギターコンサートを県内各地で開いているほか、絵本の弾き語りCDも販売中。子ども向けのキャンプや虫捕りイベントなども主催している。妻と息子との3人暮らし。「おおきな木」は岐阜市伊奈波通3の11。火曜定休。問い合わせは、058・264・2393。

480709 1 ひゅーまん岐阜 2019/03/11 05:00:00 2019/03/17 22:38:27 杉山三四郎さん(14日、岐阜市で)=増実健一撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190310-OYTAI50011-T.jpg?type=thumbnail

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