畳堤の伝統競い、伝える

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長良川左岸の「畳堤」に畳をはめ込み、効果を検証する豊田高専の学生ら(21日、岐阜市で)=大井雅之撮影
長良川左岸の「畳堤」に畳をはめ込み、効果を検証する豊田高専の学生ら(21日、岐阜市で)=大井雅之撮影

畳はめ込み氾濫防ぐ

 岐阜市の長良川左岸堤防に、国内でも珍しい「畳堤」がある。約80年前に設置されたが、使われたことはない。豪雨や台風による洪水被害が相次ぐ中、畳堤の役割について知ってもらおうと、地域防災に取り組む豊田工業高等専門学校(愛知県豊田市)の学生らがイベントを考案。実際に自分たちの手で畳をはめ込み、伝統的な治水対策を体験した。(大井雅之)

 国土交通省木曽川上流河川事務所によると、長良川の畳堤は金華橋と忠節橋の約1・5キロ区間に現存している。川が決壊した際に備えて川沿いの家への浸水被害を防ぐため、1940年頃に完成した。洪水時には、はめ込まれた畳がふくらんで隙間が埋まって壁のようになり、約1・5メートル堤防が高くなる仕組みだ。完成以降、川の整備も進んだため、水が押し寄せたことはないというが、同事務所の尾畑功・総括保全対策官は「先人たちの洪水への備えを学ぶことができる貴重な施設」と話す。

「選手権」高専生考案

 同事務所でインターンシップ(就業体験)を行った豊田高専環境都市工学科5年の宮崎翠蓮さん(20)が「畳堤の存在を知ってもらって、伝統を後世に残せる方法はないか」と、地域住民が畳を入れる速さを競う祭り「畳入れ選手権」を研究室で企画。最近では、水防団の人員確保が課題となり、畳を所有する家庭も少なくなっているため、幅広い年齢層に知ってもらおうと提案した。全国の高専の学生と教員が地域防災のアイデアを提案する初開催の「地域防災力向上チャレンジ」(国立研究開発法人防災科学技術研究所など主催)に応募し、3月に行われる最終審査会の10校に残った。

 21日には、リヤカーに載せた畳を岐阜市の本願寺岐阜別院から、長良川左岸の畳堤まで3人1組で運び、堤防に横向きではめ込むまでのタイムを競った。畳は1枚あたり、12キロのものを使用。坂道や横断歩道も通る約440メートルの道のりを駆け足で運んだ。岐阜市の担当者らも参加して3チームが実施し、最も速かったのは3分以内のチームだった。宮崎さんは「重い畳を運ぶのは大変だったけれど、地域が団結して町を洪水から守ろうとしていたことを実感した」と振り返った。

 学生を指導する豊田高専の田中貴幸准教授(37)は「治水について考える上で、地域住民が協力して洪水を防ぐ仕組みの畳堤を知ってもらい、災害時の自助や共助を考えるきっかけになれば」としている。

◇畳堤 洪水で堤防から川の水があふれそうな時に、欄干に設けた隙間に住民らが持ち寄った畳をはめ込むことで、氾濫を防ぐ特殊な堤防。通常時は景色を楽しめるようにデザインされている。木曽川上流河川事務所によると、現在、長良川のほかに五ヶ瀬川(宮崎県延岡市)と、揖保川(兵庫県たつの市)に残されている。

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464443 0 ニュース 2019/02/27 05:00:00 2019/02/27 05:00:00 2019/02/27 05:00:00 長良川左岸の「畳堤」に畳をはめ込み、効果を検証する豊田高専の学生ら(21日午後1時31分、岐阜市で)=大井雅之撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190227-OYTNI50001-T.jpg?type=thumbnail

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