外来の藻類 河川で拡大 長良川など

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ミズワタクチビルケイソウの顕微鏡写真(県水産研究所提供)
ミズワタクチビルケイソウの顕微鏡写真(県水産研究所提供)

 

アユ生育影響懸念

 川の生態系への影響が懸念されている藻類の外来種「ミズワタクチビルケイソウ」が、長良川や揖斐川など県内の河川でも広がっていることがわかった。同ケイソウは大発生すると河床を覆い、アユの餌となる藻類の繁茂が妨げられることで、アユの生育に悪影響を及ぼすことから、県水産研究所(各務原市)などが警戒を呼びかけている。(一條裕二)

 ミズワタクチビルケイソウは、2011年に九州地方での出現が初めて報告され、その後、東北や関東、中部地方で確認されるなど分布を広げている。拡大の経緯は分かっていないが、釣り人の釣り具や胴付き長靴のフェルト部分に付着したものが別の河川に入った際に移るなど、人為的な要因の可能性が高いとみられている。

石にびっしりと付着したミズワタクチビルケイソウ(5月25日、郡上市の長良川上流部で)=県水産研究所提供
石にびっしりと付着したミズワタクチビルケイソウ(5月25日、郡上市の長良川上流部で)=県水産研究所提供

 昨年6月、郡上市の長良川上流部と支流の牛道川、揖斐川町の揖斐川中流部で繁茂し、採取された藻を県水産研究所が顕微鏡で調べ、同ケイソウと確認した。郡上漁業協同組合によると、長良川上流部では数年前から同ケイソウとみられる藻が目撃されるようになり、釣り具に絡みつくなどの被害が出ていた。今年は栗巣川や吉田川でも同種とみられる藻を確認しているという。

 県内でアユへの影響は確認されていないが、17年に山梨県水産技術センターが富士川水系の荒川で行った調査では、同ケイソウが河床を覆う繁茂率が40%を超えると、放流アユの定着率が極端に減少することが分かっている。アユは藻類を餌とするが同ケイソウは好んでは食べず、本来の餌が生育する場を奪われることが要因と考えられている。

 一方で、同ケイソウは夏場に水温が上昇すると減少することも知られている。昨年は長良川でも6月下旬、揖斐川では7月下旬にはほとんど姿が見られなくなった。

 ただ、岐阜県水産研究所によると、見えなくはなっても河川から完全に消滅するわけではなく、根絶は難しいという。揖斐川中部漁協の安藤宗一組合長(74)は「今年は去年と比べるとずっと少ないので、このまま収まってほしい」と話した。

 拡大を防ぐためには釣り人らの協力が欠かせない。全国内水面漁業協同組合連合会などは今年3月にリーフレットを作成し、濃度5%以上の食塩水に釣り道具を1分以上つけるなどの殺藻方法を推奨している。

 県内の河川では今月、アユ釣りが本格的に解禁される。郡上漁協の村瀬和典参事(45)は「郡上はアユ釣りの聖地とも言われる場所。これ以上拡大するのを防ぎ、将来にわたって釣りを楽しめるよう協力をお願いしたい」と語る。

 県水産研究所の藤井亮吏資源増殖部長も「確認されていないだけで、他の河川にも広がっている可能性がある。対策を徹底できるかどうかは結局、釣果として返ってくるので、自分たちのためにも、これ以上は『持ち込まない』『持ち出さない』という意識を強く持ってもらいたい」と話している。

 ミズワタクチビルケイソウ 米国原産の淡水にすむ藻類の一種。顕微鏡でしか見ることはできないが、増殖すると塊やマット状になり、魚や水生昆虫の生育に悪影響を与えるほか、景観の悪化を招き、釣りの仕掛けにまとわりつくなどして支障をきたすとされる。

◆ミズワタクチビルケイソウに有効な釣り具などの殺藻方法◆

〈1〉濃度5%以上の食塩水に1分以上浸す

〈2〉60度以上のお湯に1分以上漬ける

〈3〉水気を切り消毒用アルコール(エタノール50%以上)を吹きかける

※全国内水面漁業協同組合連合会などのリーフレットを基に作成

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3051957 0 ニュース 2022/06/03 05:00:00 2022/06/03 05:00:00 2022/06/03 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220602-OYTNI50042-T.jpg?type=thumbnail

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