「鉄板は命」教え忠実に

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「一見同じように見える素材も、季節によって水分量などが少しずつ違っている。なるべく同じ味をつくることを心がけています」と話すロペズさん(広島市西区で)
「一見同じように見える素材も、季節によって水分量などが少しずつ違っている。なるべく同じ味をつくることを心がけています」と話すロペズさん(広島市西区で)

 ◇グアテマラ出身 お好み焼き店を営む フェルナンド・ロペズさん 54

 広島の下町・JR横川駅から徒歩5分。オレンジを基調とした外壁に、青色の窓枠と緑色のひさしが映える。のれんは見当たらない。

 異文化感が漂う店内で提供されるのは広島のソウルフード・お好み焼き。中はジューシー、外はパリッとした本格的な味わいに、店主が中米グアテマラ出身という珍しさもあり、今では多くのメディアに取り上げられる有名店になった。

 7人兄弟の4番目として育った。20代前半に職を求めて親戚のいるアメリカに渡った。ルイジアナ州のニューオーリンズにあるイタリア料理店で修業すると次第に腕が認められ、街でも指折りのフランス料理店で働く機会を得た。その後、紹介でハワイの高級ホテルに移り、現地でまもなく出会ったのが妻の万喜子さんだった。結婚し、2人の店を作ろうと心に決めた。

 万喜子さんの故郷である広島に来たのは1995年。当初はメキシコ料理の店を開こうと思ったが、「広島ではなじみが薄いし、はやらない」と周りから反対された。取り扱う店舗が限られているため材料費が高く、中心部の土地も高騰。知人も店を閉めたばかりだと聞いた。

 壁にぶつかっていた頃、「お好み焼きならみんな知っているし、街中でなくてもやれるよ」と、親戚から勧められた。子どもも生まれ、生活費を稼がなくてはならない。半信半疑だったが、「オタフクソース」で研修を受け、知人の紹介で薬研堀の有名店「八昌」で修業するうちに、その奥深さを知った。約半年働いた頃、マスターから自分の店を持つことを提案された。

 2000年、夫婦二人三脚で「Lopez」を開店した。「鉄板は命。いつもきれいにしておきなさい」。「利益よりも、目の前のお客さんを満足させることを考えなさい」。マスターの教えを忠実に守った。

 使用する鉄板は厚さ30ミリ。熱がじわっと伝わる一方、焼き上がるのに1枚15分かかる。普通の倍の時間だ。出来上がるまでの間、客に気軽に話しかけ、会話を弾ませる。「何か珍しいものはない?」。何げない会話から生まれたトッピングのハラペーニョ(青唐辛子)は今では店の名物になった。

 店を始めてはや18年。これまで巣立った弟子は10人にのぼる。常連も増え、かつて子どもだった客が自分の子を連れてくることもある。

 広島人にとってお好み焼きはなくてはならない、お袋の味。一口食べるとどこか安心した気分になる。異国出身の自分も、そう思えるようになった。世界中の人にその味を知ってもらいたい。そう願いつつ、今日も熱々の鉄板の上で、心地よいヘラの金属音を奏でる。(山上高弘)

 <フェルナンド・ロペズ> コーヒーで有名な中米グアテマラで生まれ育ち、アメリカで料理の修業をした後、30歳代前半に妻の万喜子さんと来日した。「Lopez」の営業時間は平日午後4時半~同11時。火・金に限って、午前11時半~午後2時も開店している。定休日は土・日。問い合わせは同店(082・232・5277)。

無断転載禁止
24459 0 人あり 2018/06/03 05:00:00 2019/01/16 10:11:47 お好み焼きを提供するロペスさん。「一見同じように見える素材も、季節によって水分量などが少しずつ違っている。なるべく同じ味をつくることを心がけています」(広島市西区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180602-OYTAI50003-T.jpg?type=thumbnail

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