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「がんす娘。」として活動する 三宅 結花さん 37(呉市)

 呉市のソウルフード「がんす」を看板商品として作り続けるかまぼこ店「三宅水産」(呉市広古新開)で、がんすをPRする「がんす娘。」として15年にわたって活動している。県内外のスーパーやアンテナショップなどに出向き、おいしさや食べ方などを広めており、「がんすを食べる人であふれてほしい」と願う。

「がんすの知名度はまだ低い。もっとおいしさを知ってほしい」と話す三宅さん(呉市で)
「がんすの知名度はまだ低い。もっとおいしさを知ってほしい」と話す三宅さん(呉市で)

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 白身魚のすり身にパン粉をつけ、油でカラッと揚げた「がんす」。商品名は、昔ながらの安芸弁「~でがんす(~でございます)」に由来するという。

 1950年頃から呉市広地区のかまぼこ店などで盛んに作られるようになり、庶民に愛されてきた。練り物をフライにしたのは、当時の食卓を彩ったコロッケやエビフライのように親しまれることを狙ったともされる。

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 三宅さんは同店の3代目社長、清登さん(68)の長女。デザイン関係の仕事に興味があって大学卒業後は、京都府のデザイン事務所に勤めていた。

 ところが約15年前、父から「このままでは、店をたたまないといけない」と打ち明けられた。主力商品だった贈答用のかまぼこの売り上げが落ち込んでいた。

 そこで父に提案したのが、がんすを新たな主力商品に据えること。以前から「おいしいのに、作る量が少ないから広まっていない」と感じていたからだ。

 ただ、当時は県西部の一部地域でしか食べられておらず、知名度が低かった。「店頭に並べても売れ残るだけ」と渋る父親に、「まず手にとってもらうため、試食販売をしたら」と勧めてみたことが、大きな転機になった。

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 父から言われた一言は「じゃあ、お前が『がんす娘』にでもなって売ってこい」。家業を、そして大好きながんすを守るため、「普通に売っていても、今までと同じ。言い出した自分が体当たりでやるしかない」と決意を固め、Uターンして店で働き始めた。

 まず知ってもらうことが大事だと、「がんす娘。」と大きく書かれたパネルを貼り付けた帽子をかぶってスーパーの店頭などに立った。物珍しさで集まる客に「軽く焼いたり、大葉と合わせたりしてもおいしいんでがんす」。語尾に「がんす」と付ける独特のセールストークで試食してもらうと、客が一つ、また一つと手に取ってくれた。

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 PRが実り、同社のがんすは県内の多くのスーパーで陳列され、居酒屋などでも提供されるようになった。東京・銀座のアンテナショップでは、数ある商品の中で売り上げが上位に食い込んだこともある。がんすは新たな柱に成長し、店は救われた。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、昨年から試食販売は思うようにできていない。それでも、SNSを活用して情報発信を続けている。「うどんにのせたり、サンドイッチにしたり。おつまみにもなるし、おいしい食べ方はたくさんある」。がんすへの愛は尽きない。(森谷達也)

  みやけ・ゆか  1983年、呉市生まれ。市内の高校を卒業後、滋賀県の美術系大学に進み、商品パッケージやロゴマークなどを考えるグラフィックデザインを学んだ。知識を生かし、三宅水産ではがんすのパッケージデザインなども手がける。最近のお気に入りはチーズを使った自社商品「チーズでがんす」という。問い合わせは同店(0823・71・7816)。

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2227832 0 人あり 2021/07/23 05:00:00 2021/07/23 05:00:00 「がんすの知名度はまだまだ。多くの人においしさを知ってほしい」と話す三宅さん(呉市広古新開で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210722-OYTAI50005-T.jpg?type=thumbnail

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