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チョークアート作家 大原郁香さん 33(尾道市)

「初心者でも気軽に始められるのがチョークアートの魅力」と語る大原さん(尾道市で)
「初心者でも気軽に始められるのがチョークアートの魅力」と語る大原さん(尾道市で)

 黒く塗った合板に青や白色のチョークで円を描く。指でこすって色を混ぜ合わせると、柔らかな花びらや球体の形が立体のように浮かび上がった。

 豪州で発展した「チョークアート」を古里の尾道市・向島から発信している。生命力あふれる植物を描くのを得意とし、各地で個展を開催。主宰する教室には市内外から生徒が訪れる。

      ◎

 幼い頃から絵を描くのが好きだった。創作したキャラクターやデザインを画用紙に描いては家族に見せた。

 19歳になった大学の春休み、豪州のゴールドコーストに語学留学した。入ったカフェでチョークアートが展示されていた。小さな絵の中で妖精が生き生きと舞っていた。時が止まったように見入った。

 チョークアートは、オイルパステルとも呼ばれる油分の多いチョークを使って黒板に描く。輪郭線を指でぼかして立体感を出す新しい画法だ。絵画の専門的な教育を受けたことはなかったが、「自分も描いてみたい」と強く感じた。

 1か月後に帰国し、しばらくして大阪のチョークアート教室に通い始めた。格調高い油絵や日本画と異なる自由さや気軽さが体になじんだ。

 学生の友人たちが就職活動を始めても続け、「チョークアート作家になる」と宣言した。親から「絵で食べて行けるのはほんの一握り」と諭されても気にしなかった。アルバイトで資金をため、大学卒業後、再び豪州に渡り専門学校で学んだ。

 町に出れば、飲食店のメニュー看板やショッピングモールの広告など様々な所にチョーク作品が並んでいた。「生活に密着したアート。やっぱり自分にはこれが合っている」。思いは高まった。

      ◎

 2011年、受講を終えて地元に戻った。つてもなく、インターネットで似顔絵制作の依頼を受け付けた。一向に注文は入らなかった。金融機関などの待合に作品を置いてもらおうと掛け合っても、まともに取り合ってくれる所はなかった。

 アルバイトの傍ら作品制作に励む日々に転機が訪れたのは16年。心に咲く情熱の花をイメージした作品を描き、国内最大規模の美術公募展「二科展」で見事、入選した。

 周囲の目が変わった。作品制作の依頼が入り出し、画廊で個展を催すようになった。17年、向島に教室「ロビーナ」を開いた。生徒も徐々に増え、芸術家として自立を果たした。

 大事にしているのは地域に根ざし、地域の良さを見つめる姿勢。18年、尾道市立栗原北小の依頼で、学校の玄関ガラスを山や海の自然で埋め尽くした。今年6月からは市立因島南小で特別非常勤講師を務め、児童に特産の除虫菊を描いてもらった。

 真っ黒な板に色を載せるチョークアートは、暗闇を光で照らす作業のようだ。「支えてくれる人への感謝を忘れず、好きなことを追求すれば、きっと夢はかなう」。子どもや教室の生徒に、絵の技術以上に伝えたいのはそんな思いだ。(佐藤行彦)

  おおはら・ゆか  1988年、尾道市生まれ。2010年、福山大卒業。チョークアート教室「ロビーナ」主宰。

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2342902 0 人あり 2021/09/06 05:00:00 2021/09/06 05:00:00 「初心者でも気軽に始められるのがチョークアートの魅力」と語る大原郁香さん(尾道市で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210905-OYTAI50004-T.jpg?type=thumbnail

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