元カープ選手 治療の道

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

鍼灸師 鈴木将光さん 35(三原市)

「患者とのコミュニケーションを大切にしている」と話す鈴木さん(左)と妻の聡子さん(三原市で)
「患者とのコミュニケーションを大切にしている」と話す鈴木さん(左)と妻の聡子さん(三原市で)

 三原市宮浦の住宅街で「すずき 鍼灸しんきゅう 接骨院」を営む。玄関の壁にプロ野球・広島カープ時代に袖を通した背番号「50」のユニホームが飾られている。小学生から90歳代まで幅広い世代が施術に訪れ、自宅で取り組めるストレッチを教えることもある。「早くけがを治して、充実した生活を送ってもらいたい」と、患者とのコミュニケーションを大切にしている。

          ◎

 石川・遊学館高時代は強打の外野手として注目を集めた。夏の甲子園に2度出場して4試合で4番に座った。2年の時は2回戦で東北高(宮城)に敗れたものの、先発投手を務め、現在、大リーグで活躍するダルビッシュ有投手と投げ合った。

 3年の時は1試合3盗塁も記録した。「走攻守そろった選手」。プロのスカウトから高い評価を受け、2005年の高校生ドラフト1巡目で広島に指名されて入団した。

 だが、「プロでの生活はけがに始まり、けがに終わった」というように、1年目から腰を痛めて手術した。「必ず一軍でプレーする」と誓い、懸命のリハビリを続けた。

 初の一軍昇格はプロ7年目だった。12年9月13日の巨人戦(東京ドーム)の7番右翼手で先発出場した。巨人の先発は、この年にセ・リーグ最多勝を獲得した左腕・内海哲也投手(現西武)。二回に右打席に立ち、「来た球を打つ」とだけ考え、外角へ曲がりながら沈んでいく球に食らいついた。

 バットを折りながら右前に運んで初打席初安打を記録した。「うれしいというよりもほっとした。治療をしてくれた先生やトレーナーに感謝した」と、記念の一打を振り返る。

          ◎

 15年に現役を退いた。「けがに苦しんだ経験を生かしたい」と、鍼灸師の勉強を始めた。広島市内の専門学校に3年間通い、はり師ときゅう師の二つの国家試験に合格した。

 鍼灸接骨院は現役時代に野球教室で度々訪れていた三原市内を選んだ。民家を改装して20年9月に開院した。妻で元女子プロ野球選手の聡子さん(34)は柔道整復師の資格があり、けがの状態に合わせて2人の治療を受ける患者も多いという。毎週1回、お世話になった方に往診するなど、常に感謝の気持ちを忘れたことはない。

 将来は、体のケアをしながら野球の技術も向上できる施設の運営を目指している。「子どもの頃から股関節などを柔軟にする体作りをし、技術をレベルアップさせれば、プロで通用できる選手になれる」。妻と一緒に再スタートした新天地で、新たな夢に向かってフルスイングしている。(橋本栄二)

          ◇

  すずき・まさみつ  1987年生まれ。富山市出身。高校通算本塁打は64本で、巨人や大リーグで活躍した松井秀喜さんを上回る。プロ通算成績は6試合で2安打1犠打。聡子さんは中四国女子硬式野球連盟副会長を務めている。

スクラップは会員限定です

使い方
「地域」の最新記事一覧
3017406 0 人あり 2022/05/21 05:00:00 2022/05/21 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/05/20220520-OYTAI50020-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)