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    虹色真田紐 社会問題に光

     ◇藤井リボン(福山市)

     日本の伝統工芸品の一つである「真田紐(ひも)」。経糸(たていと)と緯糸(よこいと)で織られた極めて小さな織物で、古くは武具や甲冑(かっちゅう)を留める紐として使われたり、高級な茶器の箱や帯締めなどにも活用されたりしていた。

     現在、真田紐を製造できるメーカーは国内でも数少なく、福山市の「藤井リボン」はそのうちの一社。NHK大河ドラマ「真田丸」で真田紐が紹介されたこともあり、同社も度々、メディアで取り上げられた。真田紐の売り上げをさらに増やしていきたいと2016年12月、企画担当の藤井奈美さん(38)が初めてフクビズを訪れた。

     だが、業界には市場シェア(占有率)85%を誇る圧倒的な別の企業が存在する。元々、大きな市場でもないため、小手先のアイデアではあっという間に体力勝負で負けてしまう。藤井リボンだからこそできる、オリジナリティー(独自性)が必要だと考えた。

     ふと、頭をよぎったのは、LGBT(性的少数者)に関する活動を推進する「県セクシュアルマイノリティ協会」のことだ。当時、協会が福山市で行う記者発表のサポートを予定していた。

     昨今、ダイバーシティー(多様性)の浸透に課題があることがニュースなどで報じられている。その人らしく存在できる社会に賛同する人は多い一方で、重要性や意義が十分に認知されているとはいえない。

     紐は本来、「結ぶ」ためのものだ。ダイバーシティーの象徴である虹色を使った真田紐で、日本ならではの「LGBTフレンドリー」なアイテムを作れば、独自性が生まれるだけではなく、社会の課題解決にも貢献できるのではないか――。

     17年6月下旬、専務の藤井智康さん(40)と奈美さんに提案したところ、既に虹色の真田紐を試作したことがあり、在庫があると回答。さらに同社では障害者採用にも取り組み、ダイバーシティーの推進に注力しているという。

     提案は即採用。商品はシングルタイプのブレスレットとし、発売日は虹の日(7月16日)に設定。急ピッチで試作品の製作、ショッピングサイトやインスタグラムの開設、ニュースリリースの準備などを行った。

     わずか3週間後、記者発表すると様々なメディアで取り上げられ、県内だけではなく関東地方からも注文が入るなど地域を超える広がりをみせた。

     18年4月には、第2弾の新商品としてダブルリングタイプのブレスレットの販売を始めた。若い従業員たちが伝統産業を受け継ぐ藤井リボンから、ますます目が離せなくなった。(センター長・高村亨)

     

    • 藤井リボンが製作したブレスレット(福山市で)
      藤井リボンが製作したブレスレット(福山市で)

     ◇メモ 「虹色真田紐アイテム」として販売中のブレスレットは、シングルタイプが1個3500円、ダブルリングタイプが同5000円(いずれも税抜き)。シングルタイプは、S(内径15.5センチ)、M(同17センチ)、L(同18.5センチ)サイズがあり、マグネット脱着式。ホームページのウェブストアでは現在、シングルタイプ2個セットを販売している。問い合わせは同社(084・962・0026)。

    2018年05月28日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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