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    ちりめん礼服 即日仕上げ

     ◇「ソーイングさえ」(福山市)

    • ベテランスタッフが一つ一つ丁寧に裁断・縫製に携わる(福山市で)
      ベテランスタッフが一つ一つ丁寧に裁断・縫製に携わる(福山市で)

     丹後ちりめん専門の婦人服店を、国内に11店舗展開する「ソーイングさえ」(福山市)。顧客の高齢化や競争環境の激化により売り上げが伸び悩み、何とか打開したいと、田中秀道社長(52)が初めてフクビズを訪れたのは、2017年2月だった。

     同社は元々、田中社長の母親が縫製の下請けとして開業。縫製の仕事が人件費の安い海外に移ったり、縫い手も減ったりする中で、丹後ちりめんの織元と直接契約し、京都で染めた原反を仕入れて加工・販売を始めて現在に至る。

     田中社長が就任してからは、オンラインショップ事業を設けたり、積極的にダイレクトメール(DM)を発送したりするなど、販売促進にも力を入れてきた。それでも、なかなか思うような成果が出ないということだった。

     ファッションの世界は、流行の最先端を行く競争の激しい業界の一つ。路面店などの「リアル店舗」の多さに加えて、現在では自社製品をインターネット上に開設した独自のウェブサイトで販売する「EC(Electronic Commerce=電子商取引)サイト」も豊富なため、簡単にたくさんの選択肢から服を選び、買うことができる。新しい顧客にソーイングさえの店舗に足を運んでもらうためには、明確な理由付けが必要だ。

     同社は丹後ちりめん専門店としては国内で唯一、縫製工場に併設した店舗(神辺本店)を持っているため、体形にあわせた調整や、300種類超のデザイン、パターンから服を選ぶことができる。丹後ちりめんは見た目の美しさだけではなく伸縮性もあり、取り扱いやすい。これらの強みを、分かりやすい形で新しいサービスとして展開できないか……。

     作戦会議を重ねる中で、田中社長が「お客様の中には、オシャレ着としてだけではなく、ブラックフォーマル(礼服・喪服)として着られる方もいるんです」と口にした。

     私は「それだ!」と感じた。既製服のブラックフォーマルは、形が定まっているため、体形にあわせた微調整が難しい。一方で、オーダーメイドでは高額になってしまうのも難点だ。

     だがソーイングさえの丹後ちりめんなら、顧客ごとに採寸し、最適なパターンをもとに裁断・縫製するため、身長の違いや加齢による身体の変化にも対応することができ、それぞれの体にフィットした美しい仕上がりにできる。

     縫製工場に隣接する神辺本店であれば、即日仕上げができ、急な冠婚葬祭などで今すぐ必要というニーズにも応えることができる。

     こうして同年10月、業界初となる「丹後ちりめんのブラックフォーマル即日仕上げ」という新サービスが生まれた。しかも、上下セットで2万2000円(税抜き)からという価格を実現。

     新たな引き合いが続き、ソーイングさえの新たなファンが増えている。

    (センター長・高村亨)

     

    • ソーイングさえが仕立てるブラックフォーマルの一例
      ソーイングさえが仕立てるブラックフォーマルの一例

     ◇メモ ブラックフォーマルのカスタムオーダーは、縫製工場として30年にわたる実績を持ち、イタリアの服作りの要領を応用して身ごろが動きにくくなるように仕立て、着崩れを抑える独自の工夫も行っている。社内には10人の裁断・縫製のベテランスタッフがおり、全ての工程を工場内で完結、神辺本店では最短即日納品(料金は別途)を実現した。

     田中社長は「生地選びからデザインまで、季節や好みに応じた自由な組み合わせで顧客一人一人に最適な、ブラックフォーマルを提供したい」と話す。問い合わせはソーイングさえ(084・963・7368)。

    2018年06月25日 05時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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