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<541>創作 平和のたまもの

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折り鶴やその焼却灰を使ったアートを手掛ける 有田大貴さん 33

「アートを通じて原爆の惨禍を伝えたい」と話す有田さん(広島市中区で)
「アートを通じて原爆の惨禍を伝えたい」と話す有田さん(広島市中区で)
黒い雨をテーマに創作したインスタレーション=有田さん提供
黒い雨をテーマに創作したインスタレーション=有田さん提供

 国内外から広島にささげられる折り鶴やその焼却灰を使った抽象画、インスタレーション(空間展示)を、2017年から創作しています。芸術は平和と安定がなければ成り立ちませんから、芸術そのものが平和の象徴だと思います。

 私は被爆3世です。原爆投下時、母方の祖父はたまたま横川橋の石碑の陰に、祖母は自宅(旧安佐郡三篠町)のトイレにいて、どちらも奇跡的に助かったそうです。その奇跡がなければ自分は生まれていません。幼い頃からそういう話を聞いて育ち、原爆の惨禍を伝えるのが使命だと、いつしか思うようになりました。

 創作が平和の継承と結びついたのは、美術の修業のためドイツの首都ベルリンに滞在したことがきっかけです。渡航前にテロもあり、移民や難民の問題が社会を揺るがしていて、日本がいかに平和で恵まれていたのかを思い知りました。その中で自分が日本人であること、被爆都市・広島生まれであることを強く意識するようになりました。

 17年12月にベルリンで開いた個展に、投下直後に降った「黒い雨」を描いたインスタレーションを出展しました。黒い雨には放射性物質をはじめ色々なものが含まれていました。そのことを表現するため、黒い絵の具に髪の毛や鳥の骨などを燃やした灰を混ぜました。黒い雨を知らない人が多く見てくれ、惨禍の一端を伝えられたと思います。

 折り鶴の焼却灰は、翌18年に広島市に戻ってカフェで働いていた時、客の一人の話を聞いて「画材に使えるのでは」とひらめきました。

 その後、折り鶴そのものも使うようになりました。色々な色がある折り鶴は、平和の象徴であると同時に多様性の象徴でもあると思います。一度広島を出て海外で暮らした経験があったから、折り鶴をアートに活用することを思いついたのでしょう。

 これまで広島をテーマに創作した作品は60点。その一つ「Rebirth」(2019年)は、1層目に死と破壊の象徴である灰を塗り、2層目には再生を意味する千羽鶴を貼り付け、原爆から復興した広島の歴史を表現しています。

 今後は海外への進出を目指します。100を超すギャラリーに自作のデータを送るなど、コロナ禍でもできることはたくさんあります。

 折り鶴を使った作品は私のライフワークです。伝えたい思いはたった一つ。平和記念公園(広島市中区)原爆死没者慰霊碑に刻まれた「過ちは繰返しませぬから」という言葉に尽きます。これからも自分のベースにある「ヒロシマの心」を大切にして創作活動を続けていきます。(木村ひとみ)

 ありた・たいき 1987年6月、広島市生まれ。2011年12月に米国アラバマ州立ジャクソンビル大芸術学部卒業。デザイン会社やホテル勤務などを経て、17年から創作活動を開始した。今年6月末まで作品9点を、広島市中区のコワーキングスペース「Azure Hiroshima Base(アジュール ヒロシマ ベース)」で展示している。

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2027216 0 語りたい伝えたいヒロシマ 2021/05/03 05:00:00 2021/05/03 05:00:00 2021/05/03 05:00:00 折り鶴や折り鶴の焼却灰を使った作品を創作している有田さん(広島市中区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210503-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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