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<上>自民離れ 組織力で防げず

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 2019年参院選を巡る大規模買収事件を発端とした参院広島選挙区の再選挙で、野党3党が推薦する諸派で「結集ひろしま」新人の宮口治子氏(45)が、自民党新人の西田英範氏(39)に約3万4000票差をつけて初当選した。選挙戦中盤までの競り合いから宮口氏が頭一つ抜け出すと、厚い地盤を誇ったはずの自民に押し戻す力はなく、雪崩を打つように大勢が決した。09年の政権交代で下野後、自民が地道に築き直した「保守王国」の土台に、深いひび割れが走っているのがあらわになった。

■重荷背負わす

 投開票日の夜、敗れた西田氏が広島市中区の会場に到着すると、総立ちの国会議員や地元議員ら約200人が割れんばかりの拍手で迎えた。西田氏が登壇し、マイクに向かおうとしても拍手は収まらない。司会者のアナウンスが入るまで1分以上も続いた。

 「自分の力不足だ。申し訳ない」。西田氏が敗戦の弁を述べると、地元議員らは「目を合わせられない」とばかりに、一斉にうつむいた。「誰もが二の足を踏むような厳しい選挙に出馬し、火中の栗を拾ってくれた」と県連幹部。鳴りやまない拍手は、重荷を背負わせすぎた新人候補への、せめてもの償いに見えた。

■足元から揺らぐ

 選挙期間中、地元議員らは雨でも朝から街頭に立ったり、知人に片っ端から電話攻勢をかけたりして西田氏への支持を訴えた。事件で「被買収」とされた議員が表立って動けず、中には「再選挙は河井夫妻の尻ぬぐいに過ぎない。大義がない」とぼやく県議もいたが、そうした事情を差し引いても、自民の強固な組織力は、機能しようとはした。

 だが、横一線だった中盤以降に宮口氏の陣営が「政治とカネ」批判を強めると、ボディーブローのように西田氏の陣営の動きを止めた。「みなさまに、おすがりするしかない」。西田氏が有権者に頭を下げる角度は、日増しに深まった。それでも、自民を支持してきたという広島市安佐南区の主婦(40)は「自民の体質が変わったとは思えない。今回ばかりは票を入れられない」。王国は足元から揺らいでいた。

■不信感根強く

 今回の結果に、あるベテラン県議は「負けた側が言うのもおかしな話だが、これが県民の素朴な感情だろう」とため息交じりに話した。様々な戦略を試しても、県民の不信感は覆らなかった。「離れていった支持層を引き戻せなかったことが、最大の敗因だ」。読売新聞の出口調査では、自民支持層で西田氏に投票したのは67%にとどまり、24%は宮口氏に流れた。

 17日間の選挙戦を終え、陣営関係者の一人がつぶやいた。「『まだ自民は事件のけじめをつけていない』と感じている県民には、我々がどれだけ声を張り上げても訴えは届かない」

          ◇

 今回の再選挙に各党はどのような思惑で臨み、今秋までに行われる衆院選にどんな影響を残すのか。舞台裏を探る。(この連載は、飯田拓が担当します)

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2016172 0 「王国」の崩壊 2021/04/28 05:00:00 2021/04/28 05:00:00 2021/04/28 05:00:00

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