<カープ>感染ゼロ チームで達成
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田中選手会長進言 「中途半端だめ」
コロナ禍の逆境で、シーズン120試合を消化したプロ野球。他球団では主力選手らの感染が判明してチーム編成にも影響が出た中、広島カープは感染者を一人も出すことなくシーズンを終えた。背景にあったのは厳格なルールの徹底だった。シーズンオフも警戒は怠らず、来季を見据える。(中村孝)
遠征先の外出厳禁 ■ 個々で行動履歴
無観客、上限5000人、定員の50%と球場の入場制限は段階的に緩和された。マツダスタジアム(広島市南区)にもにぎわいは戻ったが、選手たちは関東、関西、名古屋への移動に伴う感染リスクを背負いながら、日々戦った。
今季から選手会長に就任した田中広輔選手(31)が、鈴木清明・球団本部長にこう進言したという。「自覚を持った大人の集団。中途半端ではだめだと思います。遠征先では外出禁止にしてください」。選手、スタッフ間で、宿舎の部屋に集まることも禁止された。
広島に戻っても、ナイター後の会食は家族でも禁止。各自で「3密」を避け、感染防止対策が講じられている店を選ぶことも徹底された。個々で行動履歴をつけ、飲食した場所、店名、同席者の明記も義務づけられた。
鈴木本部長は、田中広選手会長の功績を強調する。「感染状況が厳しい中、幸い、誰も感染せずに済んだ。(厳しい規制で)選手の不満はあったかもしれない。広輔がよくやってくれたなと思う」
PCR検査はシーズン中、月に1度、実施し、来年1月の自主トレの前とキャンプ直前にも検査を行う。自主トレではマツダスタジアムと、別の施設を併用する選手もいる。その場合、球場での練習は、球団施設しか使わない選手は午前中、併用する選手は午後と分離する措置も取る。
鈴木本部長は「感染者や濃厚接触者が出た場合、一、二軍を総入れ替えしてでも戦っていく覚悟だった。野球界全体でいかにシーズンを乗り切るかを第一に考えた」と明かす。チームで感染防止に心血を注いだ1年だった。