高齢者向け お好み焼き
完了しました
やわらか、のみ込みやすく

高齢者にも広島のソウルフード「お好み焼き」を楽しんでもらおうと、お好み焼き店「
佐伯区の店 開発挑む
高齢になると舌の筋力が衰え、うまくのみ込めなくなるため、食べ物などが気管に入り込んで起こる

同店でも「高齢になった親にも食べさせたい」という客の声は多いという。高齢の親戚にいつまでもお好み焼きを味わってもらいたいとの思いもあり、中川代表が開発を決意した。
開発では、調理器具メーカー「ホシザキ中国」(同市中区)と協力。豚肉、卵、麺、キャベツ、天かすなど、通常のお好み焼きとほぼ同じ材料を一つ一つすりつぶし、ゲル化剤を使って再成形する手法を試しているという。
今後はキャベツの芯などの硬い部分が残らないように改良を重ね、3月頃に店頭で提供を開始する予定。冷凍保存し、インターネットでも販売する。
中川代表は「離乳食になるお好み焼きにも挑戦したい。家族全員でお好み焼きを食べ、愛郷心を育ててほしい」と意気込む。経口摂取の重要性について啓発活動などを行うNPO法人「口から食べる幸せを守る会」(神奈川県)の小山珠美理事長は「高齢になっても好きな、おいしいものを食べるのは人間にとって大切。飲食店がそういった生活を支える試みは素晴らしい」と評価している。
アレルギー経験 工夫重ね
中川代表は幼い頃、アレルギーで家族や友人と同じ物を食べられず、つらい思いをしたという。自身の経験や、2013年にアレルギーの子どもが多いとの新聞記事を見たことが、小麦粉や卵などのアレルゲンを含まないお好み焼き開発に挑戦し始めたきっかけだ。
生地は小麦粉の代わりに米粉を使い、山芋などを混ぜてしっとりさせた。天かすは米粉の生地を揚げて作り、小麦粉を含まない麺やソースも探し当てた。
15年には、グルテンが分解できずに腹痛などを引き起こす「セリアック病」のために、グルテンを含む小麦だけを除き、肉や卵は使う「グルテンフリーお好み焼き」を発売。セリアック病は白人に多く、SNSなどで知ってカナダから食べに来た外国人もいた。
さらに、大豆粉を使うことで糖質を通常の3分の1に抑えた「低糖質お好み焼き」も18年に売り出し、糖尿病の人に喜ばれている。