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<東日本大震災10年>いの一番 誰かのため

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「災害時こそ、誰かのために自分から動くことが大切だ」と語る岡本さん(広島市中区で)
「災害時こそ、誰かのために自分から動くことが大切だ」と語る岡本さん(広島市中区で)

NPO活動続ける 東区の岡本さん

 東日本大震災の発生から11日で10年を迎える。フリーランスでNPO支援を手がける岡本泰志さん(40)(広島市東区)は、この未曽有の災害を機にNPOの世界に飛び込んだ。東京で震災に見舞われ、災害直後から復興支援に取り組む民間組織の存在を知り、「誰かに頼るのではなく、自分で動く」ことの大切さを実感した。「3・11」の教訓を胸に、今も古里で市民活動を支えている。(山本慶史)

復興支援 「伴走者」として

 大阪の大学を卒業後に上京。広告制作会社で働きながら、「もっと社会のためになる仕事はないか」と思い悩んでいた2011年春。ビル2階の職場の机が激しく揺れた。慌ててテレビをつけ、東北の惨状を知った。「仙台空港が津波で水たまりのようだった。現実には思えなかった」

 「もっと大きい地震が来る」「次は東京だ」――。周囲はパニックになっていた。電車は止まり、バスはすし詰め。電車で1時間20分の距離を、6時間半かけて歩いて帰宅した。コンビニ店から食料が消え、残っていたチョコレートで空腹をしのいだ。携帯電話は通話制限でつながらず、公衆電話に行列ができていた。

     ◇

 それまで災害は人ごとだと思っていたが、生まれて初めて「当事者」になった。震災発生から3日後、目にした新聞記事で人生が変わった。災害直後の混乱の中、NPOなどがいち早く被災地に物資を送るとの内容。「国や自治体ではなく、民間組織がこんなに早く動けるのか」とNPO活動への興味がわいた。

 週末にはボランティアバスで東北3県を回るようになり、泥かきや家財の運び出しに汗を流した。何度か通ううち、首都圏の電力や食料がいかに東北に支えられているのかを痛感した。

 仕事として復興支援に携わりたい思いが高まり、同年8月にはNPO法人「日本NPOセンター」(東京)に転職。復興支援に当たる全国のNPOの選考や、助成金の配分を担当した。

 その年の秋、同センターの職員として訪れた岩手県大槌町では、言葉を失うような光景を見た。津波で建物の基礎だけが残り、一面の焼け野原のようだった。ふと祖父母が見たであろう被爆後の広島を思った。「廃虚を前に、ただ生き抜こうという思いが、復興への強い力になったのかも」

     ◇

 東北で見た人口減や防災対策の問題は全国の地方が抱えていると感じ、16年末に広島市にUターン。18年の西日本豪雨でも、復興支援に従事した。被災者から「役場は何をしているのか」と責められた職員の話を耳にし、「災害時は自分を守るため、他人に攻撃的になりやすい。だからこそ、行政頼みでなく、誰かのために自分から動く人が必要だ」と改めて感じた。

 今もNPOなど7団体に籍を置き、資金調達や申請書作成、経理などで下支えしている。「災害時に足の悪い人に弁当を配るとか、誰でもできることがある。個々の市民の力が発揮されるよう、『伴走者』として手助けしていきたい」

「今後の生活拠点 未定」4割

県内避難者アンケート

 東日本大震災で県内に避難した被災者のうち、約4割が今後の生活拠点を決めていないことが、当事者団体によるアンケート調査でわかった。前年よりも割合は増加しており、避難生活が長期化する中、古里への思いと、子どもの進学先などとの間で思い悩む実態が浮き彫りになった。

 アンケートはひろしま避難者の会「アスチカ」(広島市西区)が、2014年から毎年実施。2月に102世帯に発送し、回答のあった38世帯分をまとめた。

 今後の予定を「今住んでいる自治体に定住」としたのは31・6%で、前年比7・5ポイント減。「決めていない」は同4・7ポイント増の39・5%だった。「親の介護もあり得るため、流動的」「子どもの中学、高校を考えたら今の場所が良いのか。でも家賃も高く、畑もない」など苦悩する意見があった。

 現在の悩みを問うた設問(複数回答)では、「避難元の親、親戚、友人になかなか会えないこと」(44・7%)が最も多く、「子どもの教育・進路」(34・2%)などが続いた。

 震災から10年を迎えての変化(複数回答)については「楽しいことをしようという気持ちになってきた」が36・8%に上る一方、「あきらめのような気持ちが強くなった」も31・6%だった。

     ◇

 県によると、県内には116世帯287人が避難(2月時点)。福島県からの避難者が最多で167人、宮城県からが49人、岩手県からが2人など。

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1902141 0 ニュース 2021/03/11 05:00:00 2021/03/11 05:00:00 2021/03/11 05:00:00 東日本大震災当時の体験を語る岡本さん(25日午後4時4分、広島市中区で)=山本慶史撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210311-OYTNI50003-T.jpg?type=thumbnail

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