ミャンマー 子供救いたい

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熊野出身女性 絵本1万2000冊支援計画

 熊野町出身で、難民支援のNPO法人で活動する女性が、国軍のクーデターが起きたミャンマーで、小学生に絵本約1万2000冊を贈る取り組みを進めている。被爆地・ヒロシマでの平和活動をきっかけに、海外で争いに苦しむ市民らを支えてきた。今月、クーデターから1年を迎えた現地では、政情不安とコロナが教育に影を落とすが、「未来を担う子供を救いたい」と誓う。(木村ひとみ)

政情不安、コロナ禍越え

「ヒロシマの強さ」

工藤さんから配られた絵本を読む子供たち(1月28日、ミャンマーで)=工藤さん提供
工藤さんから配られた絵本を読む子供たち(1月28日、ミャンマーで)=工藤さん提供

 NPO法人「れんげ国際ボランティア会」(熊本県玉名市)の職員、工藤絢花さん(29)。最大都市・ヤンゴンから西に100キロ以上離れた農村地帯、エヤワディ管区で学校建設の支援や教員研修を担当している。

 高校時代、国際協力機構(JICA)の職員の講演などでアフリカの紛争や同年代の少年兵のことを知り、「おじいさんやおばあさんの世代のこと」と思っていた戦争を身近に感じ、被爆者の話を聞くようになった。原爆投下による苦しみを抱えながら米国への憎しみを口にしない体験者に「ヒロシマの強さ」を感じた。

工藤絢花さん(本人提供)
工藤絢花さん(本人提供)

 広島市立大に進み、国際協力を専攻する傍ら、平和記念公園(広島市中区)など、被爆地を巡るツアーを企画し、国内外の若者と語り合った。内戦があった西アフリカ・シエラレオネの留学生が「広島の復興は祖国の支え」と熱心に研究する姿に、「広島で学んだ平和の尊さを心に、紛争地で支援をしたい」と決めた。

笑顔届ける

 アジア各地で学校を建て、援助の手を差し伸べてきたれんげボランティア会を知って職員になり、昨年5月、支援先の一つで、クーデター直後の現地に渡った。

 現地では、教育の普及が遅れ、学校に行かない子供が多い。クーデターで国軍と少数民族の衝突が繰り返され、新型コロナウイルスの感染が拡大。学校の閉鎖や休校が相次いだ。

 学校は昨年11月に再開したが、教職員の多くは国軍への抗議を示して職場に復帰しておらず、教育環境の悪化は避けられないという。

 「子供たちが勉強する機会が奪われる」。危機感を抱いた工藤さんは絵本を贈ることを思いついた。

 絵本を手がける英国の会社の協力を得て、友情や団結をテーマに書かれた3種類をミャンマー語に翻訳。クラウドファンディングで資金(30万円)を集め、製本した。1月28日から仲間と学校を訪ね、渡している。普段あまり見ることがない絵本を手にした子供たちは笑顔を輝かせた。

 工藤さんは「本と共に平和の大切さも子供たちに届けたい」と意気込んでいる。

日本の支援団体 多くが撤退

 工藤さんが現在住む同管区の治安は、比較的安定しているが、前村長はクーデターに反対する声を上げ、刑務所に連れて行かれ、暴行を受けたという。

 工藤さんによると、最大都市・ヤンゴンで平和活動をしていたミャンマー人の友人は、軍に携帯電話を奪われ、SNSの投稿内容などが問題視されて、突然逮捕された。男性は数か月間勾留され、現在、身の安全を図るため、インドに避難している。コロナとクーデターの影響を受け、多くの日本の支援団体が撤退したという。

 工藤さんは軍の許可を得て活動しており、民主化を支持するミャンマー人から「軍をサポートしている」と批判されることもある。工藤さんは「でもここで諦めたら教育支援は途切れてしまう」と力を込める。

 リスクは政情不安だけではない。ヤンゴンでは昨年8月にコロナ感染が急速に拡大。れんげボランティア会のスタッフは多くが陽性になった。工藤さんも体調を崩して寝込んだが、検査の結果は陰性だった。

 農産地帯では村人のほとんどはマスクをしていないが、工藤さんは手洗いや手指消毒などの基本的対策を徹底しているという。

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