被服支廠 全棟保存へ

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耐震工事の方針が決まった旧広島陸軍被服支廠の4号棟(2021年11月、広島市南区で)
耐震工事の方針が決まった旧広島陸軍被服支廠の4号棟(2021年11月、広島市南区で)
4号棟内で行われた強度調査(2021年11月、広島市南区で)
4号棟内で行われた強度調査(2021年11月、広島市南区で)

国所有の1棟 耐震化

 広島市最大級の被爆建物「旧広島陸軍被服 支廠ししょう 」(南区)で国が所有する1棟について、財務省中国財務局は19日、耐震工事の準備を6月中にも始めると発表した。県が所有する残り3棟では既に耐震化に向けた準備が進んでおり、4棟全てが事実上、保存される見通しとなった。(落合宏美)

活用方向性 県、今年度中に

 中国財務局はこの日の記者会見で、所有する4号棟について、昨年11月から行っていた強度調査の結果を公表した。レンガ造りの壁やコンクリートの柱などの構造は強度が十分だったが、最低限の耐震補強は必要な状態で、屋根瓦や鉄扉の腐食が進んでいることも確認されたという。

 会見では、今年度中に耐震工事のための実施設計を終える予定も示された。一方、被服支廠の今後のあり方について、同局の永井典男管財部長は「保存についての多くの意見や、文化財的な価値を踏まえた上で、県や市と連携して取り扱いを検討したい」と述べるにとどめた。

 被服支廠を巡っては、県が2019年、震度6強の地震で倒壊する恐れが高い一方、補修に多額の費用がかかるとして、1棟を残して解体する方針を発表した。

 だが、被爆者団体などから全棟保存を求める声が相次ぎ、専門家も被爆建物としての価値や4棟が並ぶ景観の重要性を指摘。昨年5月、事実上保存する方針に転換した経緯がある。

 県は所有する1~3号棟について、既に費用を圧縮した方法での耐震工事の実施設計を始めており、これで4棟とも来年度以降に耐震工事が実施される見通しとなった。

      ◇ 

 今後は、国の重要文化財指定を受けられるかどうかや、活用方法が課題となる。県は重文指定に向けた文化財的価値の調査や整理に着手しているほか、国や広島市と連携し、活用方法の検討も始めており、今年度中に方向性をまとめる方針だ。

 県は昨年11月以降、建築、平和、文化・芸術、まちづくりなど各分野の専門家らが活用の方向性を検討する懇談会を3回開催。今年1月からは県内外の希望者でつくるワークショップも始め、活用方法について意見交換を進めている。

 県経営企画チームの三島史雄政策監は「できる限り多くの方の考え方を聞き、県として活用の方向性を複数案示せるよう努めたい」と話している。

  <旧広島陸軍被服支廠>  原爆ドームより2年早い1913年に完成。軍服や軍靴の製造拠点で、爆心地の南東約2・7キロに位置し、原爆投下直後は臨時救護所になった。鉄筋コンクリートの建物では国内最古級。3階建ての4棟(各高さ15メートル、幅25メートル、全長91~105メートル)の1~3号棟を県、4号棟を国が所有する。

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