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燃料 震災時も安定供給

〈3〉北海道エネルギー 勝木紀昭社長

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戦中から戦後にかけて使用された計量機の前で  *川口正峰撮影
戦中から戦後にかけて使用された計量機の前で  *川口正峰撮影

 9月の北海道地震では道内のほぼ全域が停電するブラックアウトが発生。ガソリンスタンドの道内最大手、北海道エネルギーは非常用電源の燃料である石油の供給に大きな役割を果たしました。緊急事態に機敏に反応した勝木紀昭社長(65)に、地震直後の動きを振り返っていただき、エネルギーの安定供給にかける思いや環境問題への対応などについて聞きました。(聞き手 読売新聞北海道支社長 西嶌一泰)

 ◆ピストン輸送

 支社長 道内ほぼ全域が停電した北海道地震の時は、どう対応をしたのですか。

 勝木 前日の台風の対応で地方にいましたが、午前3時に地震があり、急ぎ駆け付けました。6時前には札幌市や北海道電力の幹部から「ブラックアウトが長くなりそう」と緊急対応の要請がありました。市からは緊急に電力を確保したい300か所のリストが届きましたが、既に社員もみな集まっていたので、すぐに対応を始めました。

 支社長 300か所とは大変ですね。

 勝木 他からも依頼が相次ぎ、こちらで優先順位を判断しました。直営ガソリンスタンド200か所のうち、非常用電源があるのは53か所。機能していた室蘭の製油所に24キロ・リットルの大型タンクローリー20台をピストン輸送させ、道内172台の4キロ・リットルタンクローリーもフル稼働。配送出身の役員も総動員し、私も1週間は配送係でした。

 支社長 それだけ頼られると責任も重大ですね。

 勝木 東日本大震災では大型タンクローリー17台が本州へ応援に行き、何十日間も留守にしましたが、「公共性のある会社になった」と実感しました。今回、うちがほぼ給油制限をしなかったのも、すれば、余計に不安感をあおるとの判断からです。

 支社長 反省点などはありましたか。

 勝木 自家発電機の燃料は灯油、重油、軽油の3種類あるので「油種は何ですか」と尋ねると「石油です」と。タンクの容量や給油口のサイズも話がかみ合わず、その都度確認が必要でした。石油組合と各行政が結ぶ災害協定は、タンク管理をもっと実務的に改めるよう提言し、緊急車両も優先車とわかるよう大きなステッカーを示してもらいました。うちも非常用発電のあるスタンドを100か所レベルに増やします。

 支社長 「新エネルギー時代」をうたっていますが、将来像をどう描きますか。

 勝木 安定供給という重要な横軸にコスト・環境・安全の三つを組み合わせたのがエネルギーのベストミックス。究極的には水素です。スタンド1軒に6億円もかかるコストが課題ですが、2030年に新車の出荷台数の3割が水素自動車になって採算が取れるようになることを想定し、候補地も確保しています。

 支社長 安定供給は会社の社会的責任だと。

 勝木 以前は3日分の在庫しか持っていませんでしたが、安定供給のため、ガソリンを4日分、ほかの油種は7日分持つことにしました。新エネルギーの推進も課題です。太陽光発電については、設備のない人にも電気代を負担させる「固定価格買い取り制度」のシステムを早く変えるべきだと訴えています。

 ◆「道エネの森」

 支社長 森づくりプロジェクト「道エネの森」はどんな思いを込めていますか。

 勝木 グループで一体感のある社会貢献事業として、CO2を出す会社だから植樹しようと11年に始めました。毎年6月に全道から3回に分けて400人ずつ定山渓に社員旅行で集まります。支店対抗のライブ大会で親睦を深めて、翌日にみんなで木を植えます。お客様も協力してくれ、これまで約5万6000平方メートルに1万本以上植えました。

 支社長 そこまでいくと、手入れが大変そうですね。

 勝木 うちの会社を引退した人たちを再雇用して「森の番人」を作りました。みんな年齢は僕より上ですが、元気に働いてくれます。「間伐はするな」と指示してしまったので、植え替えが大変ですが、会社も同じ。元気のない人がいたら、水をあげて光を当てるのが会社の役目です。

 ◆苦学生を支援

 支社長 就学支援やアルバイトから社員への大量登用もしています。

 勝木 地方出身者の中には経済的な問題などでなかなか進学できない人がたくさんいます。そこで、真駒内に男子寮を設け、アルバイトをしながら就学が可能な環境を用意しました。始めて4、5年ですが、入社してくれた学生が半分ぐらいいます。

 支社長 入社が条件ではないのに多いですね。

 勝木 ある専門学校の卒業式で、派手な格好の生徒たちの中で、質素な生徒が泣いているのを見かけたんです。校長に聞くと2年間働きながら通った苦学生だった。僕はああいうのに弱いので、会社に帰って、「苦学生を、うちで預かれないか。やってみようよ」と、就学支援をみんなで決めました。

 支社長 札幌商工会議所副会頭として北海道経済の展望をどう見ていますか。

 勝木 ポイントは、2030年の新幹線札幌延伸です。道東・道北の自然を味わうロングステイを確立するためには、札幌とのアクセス強化が必要です。道内空港の民営化後、丘珠空港を航空網の拠点にしないといけない。

 支社長 1972年の札幌五輪では地下鉄や高速道路などハード中心の整備でした。

 勝木 札幌駅前の再開発はバリアフリー化が重要。30年を目標に完成させて、お披露目の場が札幌冬季五輪・パラリンピックです。観戦に来た世界中の人たちにウィンタースポーツの中心地北海道が、自然と人に優しい町の完成形だと知ってもらいたい。

 支社長 将来像が具体的ですね。

 勝木 僕は子供の頃、札幌五輪の誘致に駆り出されて、「オリンピックが来たらいいな」と願った世代です。次に選手になる世代の今の子供たちにも、30年に向けて大きな夢を持ってほしいですね。

 【かつき・としあき】 札幌市生まれ。国際商科大学(現東京国際大学)卒。大阪市の総合エネルギー商社を経て、81年、勝木石油(現カツキ)に入社、95年に社長。2008年、北海道エネルギー設立とともに社長に就任。札幌商工会議所副会頭。

 【北海道エネルギー】 1930年、現在の奈井江町で勝木商店として創業。2008年、太平洋石油販売との共同出資で設立。本社・札幌市。今年度の売上高予想は約1200億円。従業員は約1900人。道内に281か所のガソリンスタンドを展開する。

 【対談を終えて】 ライフライン支える重責

北海道エネルギー本社で談笑する勝木紀昭・同社社長(左)と西嶌支社長
北海道エネルギー本社で談笑する勝木紀昭・同社社長(左)と西嶌支社長

 社をあげて植樹活動に取り組む。ガソリンスタンドのアルバイト学生に社員寮に安く住んでもらう。9月の地震と停電の際には、取引先以外でも病院や公共施設の要請なら優先して、非常用電源(自家発電装置)の燃料補給に自社のタンクローリーを走らせた。

 地域に根ざす企業としてどう振る舞うか。なにかにつけ、考えをめぐらせる。

 原点になった体験があるという。

 イラン革命で原油生産が激減した1979年の石油危機。勝木さんが勤めていた大阪の石油商社も通常の8割程度しか販売できず、取引先におわびに回った。

 ある工場で、休憩時間でもないのに従業員らがキャッチボールをしていた。「あなたが油を持って来ないから(機械を動かせない)」といわれた。製薬会社で「空調がきかず、実験用モルモットが死んだ」「要冷蔵の薬品がダメになった」と聞かされた。火葬場では「燃料が減っても亡くなる人は減らない」と迫られた。

 自らが背負う役割と責任の重さにおののいた。

 改めて地域のなかで会社が担う役割と責任を思う。とりわけ、ライフラインの一端を支える企業として、エネルギーの「安定供給」を通じて安全と安心を提供し続けることが、社の生命線でもあると心得ている。

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51403 0 支社長対談 2018/11/28 05:00:00 2018/11/28 05:00:00 2018/11/28 05:00:00 勝木紀昭・北海道エネルギー社長(2日、札幌市中央区で)=川口正峰撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181128-OYTAI50003-T.jpg?type=thumbnail

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