ヘルシー食肉 すし人気/良質の油 化粧品に

エミュー 市場を開拓 網走東農大バイオ

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牧場でエミューと触れ合う日置園長(網走市のオホーツクエミューパスチャーで)
牧場でエミューと触れ合う日置園長(網走市のオホーツクエミューパスチャーで)

 大型鳥類のエミューを1300羽飼育する牧場が網走市稲富にある。同市にキャンパスを置く東京農業大学の発案で地元有志が経営を続けてきた。同大のベンチャー企業「東京農大バイオインダストリー」が食肉のほか、脂肪から搾ったオイル製品を販売しており、市場を徐々に広げている。地域振興にもつながる現場を訪ねた。(大和太郎)

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 網走駅から南へ車で30分。2000年に開設された牧場「オホーツクエミューパスチャー」を訪れた。案内役の日置等園長(55)に促され、19歳の雄ジャックと12歳の雌ベティの最古参カップル専用の柵に入った。

 突然の闖入ちんにゅう者を警戒したのかベティは「ボン、ボン」と低く鳴きながら、巣のある屋内に消えた。ジャックは興奮した様子でバタバタと足音をたて、記者の体をかすめるほどの距離を数秒間に2周した。

 頭までの高さは約160センチ。堂々たる体格に圧迫感があるが、目つきは意外と愛らしい。日置さんが近づくと、落ち着いて寄り添う様子を見せた。ジャックの首をなでつつ、日置さんは「性格はおとなしい。攻撃してくることは、まずありません」とほほ笑んだ。

 約300羽の飼育から始めた牧場は、今や国内最大級の頭数を誇る。東農大バイオは「エミューのまち」として売り出しており、4~9月に観光客を受け入れるほか、冬の産卵期も孵化ふか施設を除いて見学OKだ。入場者数は年500人程度にとどまるが、ひなが育ち始める5月頃に一般向け見学会を検討するなど認知度アップに工夫を凝らす。

 エミューの肉は、豚肉や鶏肉と比べて高たんぱく・低脂肪。鉄分も豊富で、ヘルシーな食材として注目されている。

1月下旬に発売されるエミューの握り「ロースト・エミュー」
1月下旬に発売されるエミューの握り「ロースト・エミュー」

 東農大バイオは生ハムなどの加工品を扱うほか、新商品をてこに肉の販路拡大も模索する。昨秋、網走市ですし店舗を展開する「清和」と協力し、傘下の店舗「すしダイニング月」で握りずしとして提供を始めた。川村智一ともかず店長(39)は「農大生や観光客にも人気だ」と話す。

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 新メニューの開発にも積極的だ。1月下旬に発売する「ロースト・エミュー」(2貫で税別330円)をいただいてみた。ヒレ肉の表面をあぶることで肉が軟らかくほぐれている。山わさびを添えてガーリックソースで味わうと、ニンニクに引き立てられた肉の甘味が口の中に広がった。第1弾で発売した「エミューのあぶり」に続く人気メニューになりそうだ。

 このほか、鶏卵の倍以上のサイズの卵を使った「生どら焼き」も東農大バイオの直営店で人気商品となっている。

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肌にうるおいを与えるエミューオイルのスプレー
肌にうるおいを与えるエミューオイルのスプレー

 商品化のもう一つの柱が、1羽の脂肪から10キロ前後とれる良質の油だ。人の皮脂成分に近く、オーストラリアでは医薬品の原料になっているという。

 東農大バイオは、保湿性を生かしたスキンケア製品を開発し、道の駅などで販売している。手に塗ってみると、スッと皮膚へ浸透し肌になじんでほとんどべとつかない。動物臭もなかった。課題は、30ミリ・リットルで5400円(税込み)と高価な点だ。同社の里見哲也事務局長(55)は「天然素材はコストがかかる。販路を広げてそれを吸収したい」としてネット販売にも力を入れる考えだ。

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 【エミュー】 オーストラリア原産の翼が退化した走鳥類。脂肪から取れる油は同国の先住民族アボリジニが古くから薬に利用してきた。時速40~50キロで走り、成鳥は頭頂部までの高さが160~180センチになり、走鳥類ではダチョウに次いで大きい。

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62953 0 現(いま)を歩く 2019/01/20 05:00:00 2019/01/20 05:00:00 2019/01/20 05:00:00 エミュー牧場で世話をする日置園長(15日午後1時2分、網走市のオホーツクエミューパスチャーで)=大和太郎撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190121-OYTAI50009-T.jpg?type=thumbnail

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