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Q.浮いて見える「石の宝殿」実際は?

水に浮かんでいると言われる「石の宝殿」(高砂市の生石神社で)=八木良樹撮影
水に浮かんでいると言われる「石の宝殿」(高砂市の生石神社で)=八木良樹撮影
高砂のまちを見下ろす「石の宝殿」がある生石神社=八木良樹撮影
高砂のまちを見下ろす「石の宝殿」がある生石神社=八木良樹撮影
石に力をもらう地元の人=八木良樹撮影
石に力をもらう地元の人=八木良樹撮影

 国史跡に指定され、高砂市の生石おうしこ神社に鎮座する「石の宝殿」。高さ5.6メートル、幅6.5メートル、奥行き5.6メートルで、日本三奇にも数えられる推定重量465トンの巨大な石造物は、浮石とも言われる。水に浮いているように見えるからだが、実際に「浮いている」のだという。ん? どういうことか。(森川明義)

謎の存在

 生石神社のご神体としてまつられるが、いつ、誰が、何のために造ったのかは、はっきりしない。

 奈良時代の715年頃に編さんされた「播磨国風土記」では「作石」「大石」として記載され、「屋(家)のごとし」とされる形や大きさは、現在の石の宝殿と一致している。

 ただ、「誰が」という点では「聖徳(太子)のおおぎみ御世みよ弓削ゆげ大連おおむらじ(物部守屋)の造れる石なり」とあるが、太子が摂政となる593年より前に守屋が死去(587年)しているなど事実関係が不透明で、何のためかはそもそも記載がない。

 中世には神が造り主として登場。現在では、仏教勢力の蘇我氏と神道勢力の物部氏の戦いに関連づけたり、松本清張氏がゾロアスター教の祭壇説を唱えたり、40以上の説がある。

 考古学の観点からは「横口式石槨せっかく」との説が有力だ。石槨とはひつぎを納めるための石の構造物を指す。

 県立考古博物館(播磨町)学芸課長の中村弘さん(54)は、造営時期を風土記から50年ほど前の7世紀半ばとみる。横口式石槨を持つ牽牛子塚けんごしづか古墳(奈良県明日香村)が同時期に造られたことが一つの根拠だ。

 石の宝殿は、凝灰岩ぎょうかいがん竜山石たつやまいし」でできている。周辺は石切り場として知られ、1700年前の古墳時代から石棺などに利用されてきた。中村さんは、「運び出すつもりで造ったが物理的、社会的事情で未完成で終わらせたのでは」と推測する。

 ただ内部を調べるレーダー探査(2008年)では棺を納めるための穴の有無は確認できず、決定打にはなっていない。

石工の見極め

 石の宝殿は社のある正面側の反対に屋根型の突起があり、家が横になったような形であることから、最終的に引き起こすつもりだったのかも論争の一つだ。

 引き起こすことは可能なのか。そのカギが火山活動でできた岩の切れ目「節理(層理)」だ。突起部の下の辺りをのぞくと、亀裂が入っている。地盤とつながっていると思われがちだが、実は切れており、地盤の上に載っているのが分かる。

 郷土史愛好家らでつくる「石の宝殿研究会」の高岡一彦会長(74)は「この節理を利用して、正面側の底を掘り下げればテコの原理でころんと起こすことは可能。当時の石工はそれを見極めて造ったと伝わっている」と言う。

 この節理、石工の世界で「縁が切れている」「浮いている」と言う。実際には水の上に浮いてはいないけれども、「浮石」とも呼ばれるようになった一つの理由だ。

パワースポット

 公家が所蔵していた播磨国風土記の写本が江戸時代後半、一般に知られるようになってから石の宝殿は人気観光地になった。西国大名や、ドイツ人医師シーボルトも訪れ、著書にスケッチを残した。

 今も多くの人を引きつける。宮司の東久祠ひさしさん(82)は「石の宝殿は神社の創建前から鎮座していた。墓ではなく、神が造った宮殿」と言い、「大いにパワーを感じてほしい」と話す。

 科学的立場の中村さんもそのパワーには共感する。「前に立ったときの迫力。1300年前に風土記を書いた人が感じたであろう驚きを共有できる。中世の人が神様を感じたというのも行けば分かる」

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1809616 0 知っトクひょうご~「へえ」な話題あります 2021/01/31 05:00:00 2021/01/31 05:00:00 2021/01/31 05:00:00 わき水に浮かんでいると言われる「石の宝殿」(26日、兵庫県高砂市の生石神社で)=八木良樹撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210131-OYTAI50001-T.jpg?type=thumbnail

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