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「勤務まじめ」救済検討

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高卒と「逆詐称」神戸市職員免職

神戸市水道局が入る庁舎。大卒を「高卒」と偽って採用された男性が勤務していた(中央区で)
神戸市水道局が入る庁舎。大卒を「高卒」と偽って採用された男性が勤務していた(中央区で)

 大学を卒業したのに、最終学歴を「高卒」と偽って採用されていた神戸市水道局の技術職員の男性(44)が懲戒免職処分となった。なぜ、経歴を実際より低く見せる「逆学歴詐称」とも呼べる不正が起こり、市は最も重い免職処分にしたのか。背景を探った。(大背戸将)

  ■就職氷河期

 「大卒の採用試験に合格するのは難しいと思った」

 5月31日付で懲戒免職処分となった男性は、神戸市水道局の聞き取りにこう説明した。

 男性は4年制大学を卒業後、受験資格が高卒までに限られた労務職の採用試験を2000年度に受験して合格。01年度に市職員となり、水道局で勤務していた。

 履歴書では、高校卒業後に一般企業に就職したと偽っていたといい、市は高卒者については最終学歴を確認していなかった。今年2月に匿名の通報があり、市が大学に問い合わせて虚偽の経歴が発覚した。

 採用当時はバブル崩壊に伴う「就職氷河期」。企業の採用枠は少なく、さらに市では阪神大震災後の行財政改革で人員削減が進んでいた。そのため、00年度の大卒採用試験(一般)の倍率は28倍と、20年度(4・7倍)と比べても「狭き門」だった。

 男性が受けた労務職の試験も86・2倍と非常に高倍率だったが、試験の難易度は大卒より低かったとされる。「倍率が高くても、高卒以下を対象とした試験であれば、より合格しやすいと思ったのだろう」。水道局の担当者はそう指摘する。

 市によると、当時は大学に進学せずに就職を希望する受験者が多く、受験資格を高卒以下に限った試験を設けた。近年は高卒の志願者が減少傾向にあり、今年度の労務職採用試験からは学歴要件を撤廃し、受験資格を「15歳以上35歳未満」に見直している。

  ■全国で相次ぐ

 「逆学歴詐称」は、過去にも全国で問題となった。

 神戸市では06年度、職員約6000人に聞き取り調査した結果、36人が詐称していたことを認めた。07年には大阪市で965人、横浜市でも507人が同様に学歴を低く偽っていた。

 ただ、処分については対応が分かれた。

 神戸市は06年度の調査で、「本来採用されるはずがなかった」として、詐称を名乗り出れば諭旨免職、隠していることがわかれば懲戒免職とする方針を提示。36人は自己申告したが、その後、20年度までに詐称を隠していた職員が13人見つかり、全員が懲戒免職処分となった。

 一方、大阪や横浜では、名乗り出た職員は停職処分にとどめた。

  ■処分に疑問

 今回処分を受けた男性は06年度の調査の際、「免職になるのが怖かった」として虚偽申告し、発覚を免れていた。逆に大阪や横浜は、免職処分にしなかったことで、大勢の職員が詐称を認めた可能性があるという。

 過去の神戸市の方針について、久元喜造市長は「学歴詐称は問題だが、長年まじめに勤めた人を懲戒免職にすることは極めて疑問」と述べ、男性らに対して救済措置を検討するという。

 太田肇・同志社大教授(組織論)の話「今回のケースは、無免許などと違って本人の能力不足を示している訳ではない。処分内容は、採用後の勤務態度や社会通念に照らして判断するべきだ」

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2181575 0 インサイド 2021/07/06 05:00:00 2021/07/05 23:07:12 2021/07/05 23:07:12 市水道局が入る庁舎(神戸市中央区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210705-OYTAI50007-T.jpg?type=thumbnail

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